研究課題/領域番号 |
20K11266
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
小口 江美子 昭和大学, その他部局等, 特任教授 (50102380)
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研究分担者 |
木内 祐二 昭和大学, 医学部, 教授 (50204821)
小野 賢二郎 金沢大学, 医学系, 教授 (70377381)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 認知症予防カフェ / 音楽運動療法プログラム / 音楽体操 / 歌唱 / 介護負担軽減効果 / 歌う / 心・体・脳の活性化 / 音楽運動療法 / 認知症予防プログラム / 音楽聴取 / 地域医療福祉連携 / 脳・心・体の活性化 / 物忘れカフェ |
研究開始時の研究の概要 |
音楽療法に運動療法を組み合わせた音楽体操(GEMTOM)は、健常者のみならず、何らかの理由で体を動かしにくい対象者においても活用されている。 参加者は音楽に合わせて皆と一緒に体を動かす楽しさから運動意欲がわき、プログラム継続性へと繋がっていることがこれまでの研究で実証されてきた。 我々は、音楽は先ず参加者の脳に働きかけ、運動手順の理解をサポートし、運動を容易にさせ、継続に繋がり、心身の健康維持に役立っていると考えている。 そこで地域医療福祉連携の認知症カフェにおいて、音楽運動を導入・活用し、参加者の脳、心、体の変化を計測して評価し、効果実証性のある「脳・心・体の介護予防プログラム」の開発をめざす。
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研究実績の概要 |
わが国の急速な高齢化の進行に伴い、内臓系、筋・骨格系への寝たきり予防対策だけではなく、認知症に対する施策が急務とされる現状を踏まえ、大学病院、自治体、地域が連携して実施する「脳・心・体に調和する認知症予防プログラム」の開発は、他の地域の産官学連携の介護予防プログラム開発にも応用可能で発展性のある研究であると考えられる。 研究代表者が開発した音楽運動療法プログラムは、血管性認知症を患う人、成人発達障害患者、うつ病患者、虚弱高齢者などに実施した研究結果から、音楽を使って喉や体を動かし健康を保つこと、音楽を聴いてリフレッシュすること、地域住民が集い社会性を維持することは、脳、心、体の健康維持に欠かせないことが示唆された。我々は、高齢者が住み慣れた地域において心身や脳の健康をも維持しながら安心していきいきと暮らしていくために、大学病院、自治体、地域が連携して活用し、かつ相互に協力し助け合えるサポートプログラムの開発を目標としている。 本研究の目的は、地域と病院とで運営する「認知症予防カフェ」の役割に着目し、気軽に立ち寄れるカフェでの視聴覚教材を起用した音楽体操(音楽運動療法プログラムGEMTOM)の短期および長期実施後における認知症予防効果や家族の介護負担軽減効果を、患者本人と介護家族への主観的・客観的調査を基に認知症患者と家族の支援の在り方を検討し評価することである。 covid-19感染により2年間認知症予防カフェは開催できなかったが、カフェ開催に不可欠な地域リーダーの育成を目指して、音楽や運動の認知症予防効果についての理論学習と音楽や体操の用い方についてのセミナーを立ち上げ、啓発活動を実施した。また、基礎データとなる健常者のデータを分析した結果、単に音楽を聴取することよりも、音楽と共に体を動かすことは「大変心地良い」という参加者の主観的感想と、それを反映する客観的データが得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
音楽体操や歌唱を起用した認知症予防カフェを立ち上げ、認知症患者とその家族への効果を検討し評価することを研究目的としているが、コロナ感染拡大により、集うことや歌うことが不可能な状態が続き、2年間カフェは開催できなかった。 covid-19感染状況を考慮しつつ、2022年11月より漸くカフェを開催することができた。水分補給のためのお茶は手元に準備しておき、認知症予防プログラムとしての音楽運動療法プログラムを導入してスタートさせた。 音楽付き体操を起用した音楽運動療法プログラムが軽度認知症やその予備軍と呼ばれる軽度認知障害の人達の認知症予防に繋がるかを検討するにあたり、S大学病院に通う軽度認知症や軽度認知障害の患者とその介護家族および地域高齢者のカフェ参加者の中から研究協力者を募り、単回の音楽介入によるデータを採取し始めている。再びコロナ感染拡大が起きてカフェが中止になる可能性があるため、先ずは単回実施のベースラインでのデータを採取して、研究参加協力者の認知症予防プログラム介入前の基本状態の把握をし、少しでも研究を前に進めることを計画している。
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今後の研究の推進方策 |
波状的な感染拡大により認知症予防カフェを含む研究計画は2年遅れてスタートした。地域高齢者およびS大学神経内科外来を受診する軽度認知症や軽度認知障害(MCI)の患者と介護家族を対象にカフェ参加者を募り、音楽体操や歌唱を導入した認知症予防カフェに月1回参加してもらい、音楽体操プログラムへの慣れと定着化を図る。カフェ参加者の中から研究協力者を逐次リクルートして、音楽の認知症予防効果についての研究を進める。感染状況によりカフェの開催が不可能になる可能性があるため、初回参加時に研究協力者の単回データを採取する。音楽に合わせた歌唱や体操を実施し、その前後の脳の活性度とリラックス度、快適度を測定し、参加前の基礎データとして評価する。順調にカフェ参加が継続できた場合には、3カ月後に、6か月後に脳の活性化や日常の動作機能に関するデータを計測して、認知症予防プログラムの長期継続介入による認知機能の変化を測定する。介護家族が同伴してプログラムに参加する場合には、介護家族のプログラム参加による介護ストレス軽減効果を測定し、音楽や体操を導入するカフェは、当事者の認知症予防のみならず介護家族のストレス軽減につながることをして実証していきたい。 また、2022年に研究代表者が音楽の認知症予防効果や軽減効果をテーマにしたイギリスBBCのDVD「わたし達の認知症合唱団」を翻訳監修したことから、地域の図書館や地域の病院からセミナー講師の依頼を受け、図書館員、病院スタッフ、地域で介護や医療に携わる人を対象に、音楽の認知症予防効果を紹介するだけでなく、音楽運動療法を活用した認知症予防カフェの立ち上げや運営に関する啓発的なセミナーとする予定である。セミナーでは、参加者との意見交換を通じて、それぞれの地域のニーズを探り、カフェのリーダーとなる職種や地域性に応じた認知症予防カフェの構築を共に検討したいと考えている。
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