研究課題/領域番号 |
20K11317
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
佐藤 佑介 日本大学, 商学部, 准教授 (00559536)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 体操 / 宙返り / 空中 / 空中感覚 / 視覚 / 眼球運動 / 視線 / 運動制御 / 視線行動 |
研究開始時の研究の概要 |
この研究では、後方かかえ込み宙返り中の視線行動と身体運動を計測し、両者の協応関係の実体を明らかにする。研究の進め方は以下の通りである。 1.踏切時に視線を安定させる後方かかえ込み宙返りと、視線を安定させない宙返りの動作を比較することによって、その視線行動が空中での姿勢や動作に与える影響を調べる。2.踏切時の視線の向きや固視時間が後方かかえ込み宙返り時の姿勢や動作に与える影響を検討する。3.着地時の視線の向きや固視時間と後方かかえ込み宙返りでの着地動作の関係を分析する。
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研究実績の概要 |
運動中の視線方向は身体姿勢や動作に影響する。体操競技における後方かかえ込み宙返りでも,両者の関りが指摘されているもののその実態は明らかではない。 令和5年度には,それまでの年度で達成された成果を基に研究が展開された。その成果とは,最新研究知見のレビュー,実験環境の構築と実験の実施,データの分析を経て得られた後方かかえ込み宙返り中の視線移動パターンの同定であった。それらを基盤とし,研究成果が発表された。具体的には,視線移動パターンが後方かかえ込み宙返りのパフォーマンスに影響するということである。 後方かかえ込み宙返り中には,踏切時と着地前に固視が確認されている(ダブルパターン)。他方,体操選手には踏切時には固視を行わない(シングルパターン)選手がいることも明らかになった(佐藤,2008)。そこで本研究では,体操選手に両パターンを実施してもらい,その時の眼球運動と全身の動作を同時に解析した。シングルパターンの場合には,踏切時には眼窩内で眼球が上方へと移動するとともに頭部が背屈され,その結果,空中での重心の位置が低くなることが示された。他方,ダブルパターンでは,踏切時に外界を固視することにより頭部の背屈は抑制され,その結果として効率の良い回転姿勢の形成や重心の位置が高くなることが示された。しかしながら,着地時の固視が始まる時間は,ダブルパターンよりもシングルパターンの方が早かった。つまり,後者のパターンは宙返りの高さが低下するという欠点はあるものの,着地前に地面を素早く視認することができるという利点をもつ。地面に関わる視覚情報を基にした着地の制御を考慮した時には,このパターンの方が有利かもしれない。宙返りの高さの不足は,体操競技において減点対象となっているため,これらのパターンを合目的的に使い分けるという観点を体操競技に関わるコーチや選手は認識する必要があるだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの研究実施に続き,新型コロナウイルス感染症蔓延の影響を受けたことにより研究の進捗状況は遅れているといえる。令和2年度に生じた研究計画の遅れが,令和5年度までの研究計画にも影響したためである。令和4年度には,研究を進めるなかで複数台のハイスピードデジタルビデオカメラにて撮影された映像を基に進める動作解析に想定以上の時間を必要とすることがわかった。具体的には,身体重心を算出するために必要な身体各部へのデジタイズに時間を要している点である。研究活動と自身の教育活動にかけられるエフォートと解析に必要となる時間の乖離を加味して研究を進めなければいけない。 そのような中においても,研究成果のアウトプットを進めるべく令和5年度には研究活動を行った。別システムも同時に稼働し,実験を新たに展開した点も計画が遅れたことにより見出された試みだといえる。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度までにおいても,研究計画を着実に進めることができた。令和6年度には,研究計画の遅れを加味したうえで,研究成果の発信に注力したい。 令和4年度に目標としていた学会での研究成果の発表は達成することができた。次いで論文として研究成果を社会へ発信することが課題として挙げられる。 この課題を達成することにより,本研究課題の研究計画完了に尽力したい。
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