研究課題/領域番号 |
20K11337
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
小池 貴行 大分大学, 理工学部, 准教授 (50528320)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 体幹姿勢 / 運動依存トルク / 垂直跳び / 筋緊張 / イップス(早気) / 投球動作 / パフォーマンス / 身体運動技術 / 脱力・リラクゼーション / 四肢 / 筋及び運動依存トルク |
研究開始時の研究の概要 |
身体運動では「必要以外の身体の力を抜く」ことが,運動技術や成果の向上にとって重要な要素となる.これは,骨格筋の過剰な筋緊張発生が隣接する筋にまで影響し,本来実施可能な円滑な動作実施を困難にさせるからである.特に肩甲骨を挙上させる肩の筋肉の緊張増加は,アナトミートレイン(骨格を介して連結する骨格筋が筋肉表面の膜を介し連結する)により全身の筋肉を緊張させる.一方,この緊張緩和を促す姿勢を取ることができれば,スポーツや演奏などのパフォーマンス向上が期待できる.本研究では筋緊張が開放できる姿勢とその保持を可能にするトレーニング方法等を明らかにするとともに,この姿勢による運動技術の改善を明らかにする.
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研究実績の概要 |
本研究課題は,円滑な身体運動実施を可能にする上で肩関節周辺筋群を含む四肢の筋群の緊張緩和が必要であるが,その緩和を可能にする適切な体幹姿勢の探求とその結果得られる運動パフォーマンスの変化,及びその状態保持を可能にする定性的な表現について検討するものである.3年目である2022年度は,1)投球前円背姿勢が投球動作のメカニクスに与える影響の研究を発展させた,2)重りを把握した上肢の振り動作を伴う垂直跳び中の上肢関節及び体幹姿勢変化への力学的影響を解析した,3)研究計画3である,筋緊張緩和を促す姿勢の学習と動きのイメ ージに関する具体的な語彙の獲得に関する研究を開始した. 各テーマの主な結果は,1)では,手先速度に対する体幹と上肢の角速度の貢献度の算出と投球腕の関節で生じた各トルク成分を算出し,円背姿勢はボールリリース速度を低下させ,肩関節内旋筋によるパワーを減少させた.さらにこの姿勢は肩の水平内転方向への回転力を高めた.この回転力発生から上腕骨を肩関節方向へ牽引する肩関節離開力を増加させ,肩甲上腕関節の負荷を増加させる姿勢であると考えられた. 2)では,重り把握状況は,肩関節と肘関節の屈曲トルクとコリオリトルクを減少させたことから,腕振りの効果である体幹を上方向へ牽引する力を減少させると考えられたが,一方で長期間のこの垂直跳びの実施は,この牽引力と共に跳躍高を増加させると考えられた. 3)では,弓道のイップスである早気(本来よりも短時間で矢を放ってしまう現象)が起こる原因を探ったところ,手関節の尺屈動作による弓の上押しができない現象があることを見出し,その原因が尺屈筋群の異常な筋活動が関係することが分かった.この活動は,手関節背屈動作の共同筋である橈骨手根伸筋との共同収縮を引き起こしたことから,手関節周りで過度な筋緊張が発生したと考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍による研究実施の影響は少なくなり,さらに研究解析を進めることができた.特に,課題1において主要な結果が得られたこと,課題3においては
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今後の研究の推進方策 |
円背姿勢に伴う投球パフォーマンスに関する動作解析では,肩関節への負荷の実際が明らかにされたが,未解明の部分が依然として残っている.例えば,ボールリリース前に起こる体幹の回旋運動は体幹姿勢が横から正面へ方向転換することを意味するがこの方向転換が行われるトリガー動作によって上肢は力学的にどのような状態に置かれるのか?それが円背姿勢ではどのような状態になるのか?などである. また,腕振り動作が伴う垂直跳びの姿勢動揺が跳躍高に及ぼす影響を検討し,脱力とは反対の状態である力みのある状態の姿勢動揺について検討したい. 弓道の早気に関する研究を継続し,観察運動学習がもたらす効果を利用し,映像による自己運動の客観的観察を通じて,早気動作が改善されるかを検討することを考えている.
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