研究課題/領域番号 |
20K11362
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
内田 若希 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (30458111)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | パラアスリート / 障害のある身体 / 交流態度 / イメージ / 共生社会 / エリート・パラスポーツの功罪 / パラドックス / パラリンピック / 障害 / 社会的包摂 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでの研究で,パラスポーツ (障害者スポーツ) のポジティブな意義や効果の検証が行われ,共生社会の実現に資する多様な価値が示されてきた.しかし,近年では,パラアスリートの「スポーツを行う身体 (パフォーマンス能力)」に焦点が集まるほど,「障害のある身体」の存在が希薄になることや,それによって重度の障害者が社会的・心理的・文化的に排除されることが問題視されている.そこで本研究では,「エリート・パラスポーツの功罪」を明らかにし,その解決に向けた心理・社会的支援方略の確立を目指すとともに,わが国の共生社会の成熟に寄与することを目指す.
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研究実績の概要 |
本年度は、前年度に実施したオンライン調査の一連の成果をとりまとめ、学会発表および論文発表を精力的に行い、社会に成果の発信を行った。まず、東京パラリンピックの観戦の有無による、身体障害者およびパラアスリートに対するイメージと身体障害者との交流態度の差異を検討した研究においては、①観戦群は非観戦群と比較して、身体障害者やパラアスリートに対して「尊敬」および「同情」においてポジティブなイメージを有し、かつ「交流の場での当惑」および「交友関係」に関する抵抗感が低いこと、②非観戦群のうち、東京パラリンピックに興味を有していた者の方が、興味がなかった者よりも、パラアスリートに対する「社会的不利」を除くすべてのイメージにおいてポジティブなイメージを有し、かつ「交流の場での当惑」および「交友関係」に関する抵抗感が低いこと、③身体障害者とパラアスリートのイメージの間に乖離が存在することを明らかにした。 また、身体障害者およびパラアスリートに対するイメージと、身体障害者との交流態度の関連について検討した研究においては、①「交流の場での当惑」では、身体障害者に対する3つのイメージとの間に有意な負の関連があり、かつパラアスリートに対する「尊敬」および「同情」のイメージとの間に有意な負の関連があること、②「交友関係」に関する抵抗感では、身体障害者に対する3つのイメージとの間に有意な負の関連があり、かつパラアスリートに対する「尊敬」および「同情」のイメージとの間に有意な負の関連があること、③「主張」に関する抵抗感では,身体障害者に対する「社会的不利」および「同情」のイメージとの間に有意な負の関連が認められる一方で、パラアスリートに対するイメージはいずれも関連しないこと、④パラアスリートに対する「社会的不利」のイメージは、いずれの交流態度とも関連しないことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、コロナウイルス感染拡大下において研究の遂行方法の再検討を行う必要があった。令和2年度に、研究方法を質的アプローチから量的アプローチに変更することを決め、量的アプローチを用いた手法で本研究の学術的問いを解明すべく取り組んできた。研究内容を見直し後、研究は概ね順調に進展しているものの、全体としてはやや遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
ここまでの研究成果から、回答者の潜在的な態度の検証の必要性が新たな課題として見出された。そこで、潜在的な態度を扱った先行研究のレビューを進めた結果、潜在連合テスト (Implicit Association Test: IAT) による研究が有用であると考えられた。よって令和5年度は、IATにより測定される潜在的な態度を調整変数とし、質問紙で測定される顕在的な態度とイメージの関連を再検討することを目指す。現在は、倫理委員会に申請を行う準備を進めている段階にある。
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