研究課題/領域番号 |
20K11399
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
釜崎 太 明治大学, 法学部, 専任教授 (00366808)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 公共性 / 公共圏 / 非営利組織 / フェアアイン / 中間団体 / 共的セクター / 市民社会 / 暴力性 / 市民的公共圏 / ブンデスリーガ / 50+1ルール / 批判的公共圏 / 受容的公共圏 / 親密圏 / 企業 / 公共性の構造転換 / 第一の転換 / 市民的公共性 / 受容的公共性 / 企業の社会的責任 / 総合型地域スポーツクラブ / プロサッカークラブ / 民主性 / 市民性 / 暴力 / 決闘 / ガバナンス |
研究開始時の研究の概要 |
ドイツのフェアアインは、法的には「社団法人」であるが、社会的には「非営利法人」の機能を担う組織である。本研究では、フェアアインとして組織されたドイツのサッカークラブの公共性と暴力性について歴史的に検討する。 この研究によって、例えば公共性の担い手として期待されながらも受動的公共圏にとどまっている現代のスポーツクラブに、階級や集団を越えた社交の場と会員による選挙の意味を明示しうる一方で、ナチのプロパガンダと交錯することになった地域住民の暴力性に光を当て、現代スポーツに浸透している商業主義や公的資金への受動的態度の危険性に注意を促す効果も期待できるだろう。
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研究成果の概要 |
本研究ではドイツにおけるサッカーの定着過程に果たした非営利法人の社会的機能について検討した。19世紀後半から20世紀前半にかけてのドイツにおいてはフェアアインと呼ばれる市民の自律的な中間団体によってサッカーが担われたことによって、企業と対等以上に交渉し利益を引き出し得る組織としてサッカークラブが形成された。しかし、その自立的な組織を担った市民の価値観に戦士貴族的な暴力性が付着していたことによって、サッカーは暴力的な文化として普及することになった。その暴力性の克服は、戦後の市民運動をまたなければならなず、その過程とマスキュリニティーズ(男性性)の問題が密接に結びついていたことも明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
第一に、現代における「公共性」にとって、自立した中間団体の存在の意義を明示することができた。この「公共性」の意味は二重である。ひとつには、スポーツを広く公共財として保護するためには、政治や経済から自立した市民の中間団体が必要であること、もうひとつには、民主主義社会を成立させるためには、国・行政や企業の利益に批判的に対峙し得る公共圏の確立がスポーツという大衆文化においてこそ必要なことである。 第二に、戦前のドイツに見られた自立的な中間団体も、自らユダヤ人排斥条項を可決してしまったように、批判的な審級を維持するためには、中間団体を通じた不断の政治参加と親密圏における教養が必要不可欠なことである。
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