研究課題/領域番号 |
20K11425
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
|
研究機関 | 高千穂大学 |
研究代表者 |
新井 健之 高千穂大学, 人間科学部, 教授 (20397095)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 視覚トレーニング / 注意配分 / 運動予測錯覚 / 運動予測 / 動作の自動化 / ゴルフ / 運動認知 / 運動錯覚 / スキー / スノーボード / 錯覚 / パッティング / 認知予測トレーニング / 見越距離短縮錯覚 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、飛躍的な効果が有る視覚トレーニング開発である。現状の視覚トレーニングは、物体の運動予測が錯覚しないことを前提に作られている。しかし、物体への注意配分変化により大幅に変化(実際の20~100%;見越距離短縮錯覚)する。その特性や実際のスポーツ場面で錯覚変化が起きている可能性も報告した。 本研究では物体の運動認知・予測特性を、運動制御をできる限り排除したVR実験と実際のスポーツ場面における運動制御も含めた実験の2方向から検討し、対象物への注意配分により変化する運動認知・予測特性を考慮した視覚トレーニングの開発を目的とする。それにより、飛躍的な視覚トレーニング効果の向上が期待できる。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、対象物への注意配分により変化する運動予測特性を考慮した視覚トレーニングの開発である。それにより、飛躍的な視覚トレーニング効果の向上が期待できる。報告者は、対象物への注意配分変化により、対象物の運動予測が変化する運動予測錯覚を発表している。その知見は視覚トレーニングの開発に、対象物への注意配分変化という状況変化が、トレーニング効果の効率化に不可欠である可能性を示唆している。また、戦略トレーニングなどへ応用も期待できる。そして、動作の自動化により影響が減ることから、トレーニング熟練度評価への応用などの可能性を示している。 2022年度は、対象物の運動予測の方向特性について研究を進めた。また、昨年度と引き続き女子の予測特性についても進めた。日本体育・スポーツ・健康学会では、右斜め下方向と水平右方向の比較を発表した。日本体力医学会では、水平右方向と垂直下方向の比較とバドミントン経験者における運動物体の認知・予測特性を発表した。また、札幌医科学セミナーにて今までの研究成果の一部をまとめた講演をゴルフやテニスへの応用を含めて行った。そして、認知予測研究会を科研費補助により開催した。複数の分科会にて、ボール落下の予測と注意の関係や認知予測特性の男女差について議論した。さらに、対面で開催された研究会(ゴルフ、テニス、スキー、スノーボード)で、それぞれの種目特性にからめた認知予測特性に関する議論をした。 対象物の運動予測の方向特性では、水平右方向移動よりも下方向移動の方が、そして、水平右方向よりも斜め右下方向の方が、より運動速度を遅く(移動距離を短く)予測する可能性があることが示唆された。つまり、運動予測の特性の一つとして下方向成分が加わると運動速度を遅く(移動距離を短く)予測することを示しており、 下方向への重力加速度と矛盾する結果となった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の最終目的である、対象物への注意配分により変化する運動予測特性を考慮した視覚トレーニングの開発には、物体の運動予測特性の解明が必要不可欠であり、本研究期間内で行う予定である。2022年度は、2020年度からの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大による影響で、研究計画実行が滞ったままである。 研究遂行を行う上で大きな問題が2点あった。1点目の研究発表の行い議論を行う場の確保は、遠隔開催・対面復活により少し回復傾向であったが、2点目の実験の実施に関わる場や被験者の確保は、依然として難しい状態が続いた。 しかし、1点目の研究発表・議論の場も、遠隔会議システムだけでは無く、一部対面が復活した。主催した認知予測研究会は参加者が限られたが対面で行った。2点目の問題は、改善の兆しがあるものの、被験者の確保もさることながら、実験統制のために行っていた、不要な注意分散を避けるための閉鎖空間と感染症対策の両立を図る必要があり、困難な対面実験状況をクリアできる感染症対策を以前模索中である。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度は、2020年度から引き続き、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大の影響により、研究遅延が生じた。この影響が、今後も続くか収束するかは、現状では予測不可能である。その為、2023年度は、影響が残ると仮定し研究の推進方策を行う。コロナ禍の影響を受けた点は2点ある。1点目は、研究発表の行い議論を行う場の確保である。2点目は、実験の実施に関わる場や被験者の確保である。 1点目の研究発表の行い議論を行う場の確保では、対面開催中止となった日本ゴルフ学会の理事会に働きかけ、学会大会の対面開催復活を目指す。また、日本体育・スポーツ・健康学会や複数の研究会では対面での開催が予定されていることから、会場での議論を進める。2019年に科研費を利用し立ち上げさせて頂いた認知予測研究会も、徐々に参加人数を増やし、分科会単位で活動が行えるようになってきている。科研費を利用させて頂き、遠隔や対面での研究会開催を行う予定である。そこでの議論の成果を、より多くの研究者と議論するために、参加人数が多い、日本体育・スポーツ・健康学会や日本体力医学会、日本ゴルフ学会などでの発表を行う予定である。また、今までの研究成果をまとめた講演や論文の依頼を積極的に受け、一般の方に広く研究成果を公表する。 2点目の実験の実施に関わる場や被験者の確保では、感染症対策が円熟してきた大学の学生を対象にした実験を、統制条件を緩めて実施し、学会発表する予定である。また、今までの実験データは、全てが解析でき発表したわけでは無い。特に性別に関しては、性差が実験結果に影響する可能性も考慮し、被験者は男性を中心に、性別を混在してのデータ解析は行っていない。今後は、それぞれ別々に発表してきたデータや未発表データを性別で比較し、物体の運動予測特性に関しての性差についても議論を進める予定である。
|