研究課題/領域番号 |
20K11439
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59030:体育および身体教育学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
坂本 昭裕 筑波大学, 体育系, 教授 (10251076)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | キャンプセラピー / 発達障碍児 / 自己概念 / 社会的スキル / 自己形成 / 冒険教育 / 自然体験療法 / セラピー / 発達障害 / キャンプ / 発達障害児 / 自我発達 / 社会性 |
研究開始時の研究の概要 |
人の自己形成は社会的スキルなどの社会性機能を基盤に促進すると言われており、発達障害児においてもその可能性がある。自然体験療法では、グループ体験によるカウンセリングに特徴があり、クライエントの自己意識や人間関係などの社会的スキルを育むことに有効である。しかしながら、発達障害児の自己形成と社会性機能の関連に着目した実証的な研究は行われていない。そこで本研究は、発達障害を有する児童生徒を対象に自然体験療法を実施し、発達障害児の社会性機能の獲得が自己形成に及ぼす影響を明らかにする。
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研究実績の概要 |
人の自己形成は社会的スキルなどの社会性機能を基盤に促進すると言われており、発達障碍児においてもその可能性がある。自然体験療法(キャンプセラピー)では、グループ体験によるカウンセリングに特徴があり、クライエントの自己概念や人間関係などの社会的スキルを育むことに有効である。しかしながら、発達障碍児の自己形成と社会性機能の関連に着目した実証的な研究は行われていない。ところで、発達障碍児の自己概念は、定型発達児と異なることが指摘されている。そこで本年度は、発達障碍児と定型発達児を統合したキャンプセラピーを実施し、両者の比較から発達障碍児の自己概念と社会的スキルに及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。 調査対象者は、13日間のキャンプセラピーに参加した小学5年生から中学3年生86名であった。内訳は、定型発達児童生徒66名(男子43名、女子23名、平均年齢12.0±6.73歳)と発達障碍児と診断されているか、あるいは発達障碍児の傾向を指摘される児童生徒20名(男子16名、女子4名、平均年齢13.43±0.84歳)であった。キャンプセラピー前後の両群の自己概念及び社会的スキル得点を比較検討した。その結果、発達障碍群の自己概念及び社会的スキルの得点は、有意に向上する因子が確認され、キャンプセラピーの効果が明らかになった。自己概念では、自信因子、積極性因子の得点の向上が顕著であった。また社会的スキルでは、関係参加行動因子、関係向上行動因子で顕著な向上が認められた。しかしながら、自己概念及び社会的スキルのほとんどの因子において、発達障碍群は定型発達群に比較して有意に得点が低かった。発達障碍群は定型発達群と比較して、自分の全般的な能力に違いを自覚し過小評価することが示唆された。これらの結果は、先行知見を支持する結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、自然体験療法プログラム(キャンプセラピー)を実施しデータを取集する予定であったが、コロナウィルス感染症拡大によって、規模を縮小して行わざるを得なかった。そのため、充分な調査対象者を確保することができなかった。したがって、2023年度もキャンプセラピーを実施する予定である。しかし不測の事態(天候の荒天、コロナウィルス感染症の再拡大など)が起こることも予想される。このような場合、数量的な分析を行うためには、調査対象者数が十分とは言えない。調査対象者が少なくても研究目的が達成されるように、事例研究を行うなどデータ分析の方法を工夫する。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は、自然体験療法プログラム(キャンプセラピー)における発達障碍児の社会性機能の獲得が、自己形成に及ぼす影響を検討することにある。したがって、発達障碍児を対象にキャンプセラピーを実施することが欠かせない。2023年度調査対象者を確保するために、再度プログラムを実施する予定である。研究計画では、2023年度研究の総括をする予定であったが、研究がやや遅れているため、研究期間を1年延長して2024年度に研究を総括し論文にまとめる。
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