研究課題/領域番号 |
20K11444
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59030:体育および身体教育学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
宮田 浩文 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (90190793)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 脊髄運動ニューロン / 神経由来栄養因子 / 筋由来栄養因子 / 低酸素刺激 / 呼吸筋支配運動ニューロン / mRNA発現 / 運動ニューロン / 筋損傷 / 神経栄養因子 / mRNA発現量 / 可塑性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,ラット脊髄の各種mRNAの発現量を比較し,神経系の可塑性を比較的簡単に調べる方法を提案する。 1年目に,運動ニューロンの含有量の違う脊髄の部位差をリアルタイムRT-PCR分析で定量的に調べる。2年目に,片側下腿筋に筋損傷モデルを作成し,神経筋接合部の構築に関わる分子とそのレセプターの発現量を左右の脊髄腰膨大部において比較する。3年目に,低酸素負荷等において呼吸筋ニューロンのある頸髄と腰髄を比較する。 以上の結果を総合的にまとめて,脊髄中の遺伝子発現の変動から神経筋システムの可塑性を調べる方法について検討する。
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研究実績の概要 |
本研究では,ラット脊髄の各種mRNAの発現量を比較し,神経系の可塑性を比較的簡単に調べる方法を提案する。 1年目に運動ニューロンの含有量の違う脊髄の部位差をリアルタイムRT-PCR分析で定量的に調べた。2年目に片側下腿筋に筋損傷モデルを作成し,神経筋接合部の構築に関わる分子とそのレセプターの発現量を左右の脊髄腰膨大部において比較した。3年目に低酸素負荷等において呼吸筋ニューロンのある頸髄と腰髄を比較した。4年目には,若齢(12週齢: n=18)及び老齢(18か月齢: n=18)マウスを用い、それぞれコントロール群(CL)と代償性過負荷群(FO)群に分け,2週間後に,急性肥大を起こした足底筋とヒラメ筋および支配運動ニューロンの局在する脊髄腰膨大部を採取した。サンプルは液体窒素によって瞬間凍結し、-80℃で保存した。 3年目までの実験において,脊髄の主な神経栄養因子はほとんどが2日~7日後にmRNA発現量を有意に増加させ,神経系のリモデリングが生じていることが示された。特に,シナプス可塑性に決定的な影響を有するBDNFのmRNAは,各実験ともに長期にわたり脊髄中で5倍以上の高発現を示し,そのレセプターであるTrkBのmRNA発現量が有意に低下した点は興味深い。また,代表的な神経栄養因子であるNGFやCNTFにおいても,損傷筋でmRNA発現量が増加傾向にある一方,各レセプターのmRNA発現量には有意な低下が認められた。これらの結果は,各神経栄養因子がエンドクリン的に全身性に作用している可能性を示唆する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度(2023年度)は,学部長としての職務が激増し,研究に割く時間がほとんどなくなった。そんな中で,予定されていた加齢変化に関する実験のサンプリングは終了し,現在,脊髄の遺伝子発現を調べる分析が進行中である。分析終了後,これまでの結果と加齢変化の結果を総合的にまとめる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
5年目(2024年度)は「加齢マウスの脊髄の各種mRNAの発現量を若齢マウスと比較し,加齢変化を検出できるか,さらにその変化は何を意味するか」について以下のように検討する予定である。 12週齢マウス6匹と18か月齢マウス12匹(一部は低酸素曝露)から,頚髄と胸髄を取り出し保存する。それぞれの部位において各種mRNAの発現量を測定し,若齢マウスの値を基準とした,相対的な発現量変化を調べる。 筋及び脊髄のサンプルはすでに採取済みであり,現在鋭意分析中である。夏までには分析を終え,課題全体の実験結果を総合的にまとめて,学会発表および論文化に取り組みたい。 費用のほとんどは,これらの分析のための消耗品代および学会・論文発表用の費用として使用する。
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