研究課題/領域番号 |
20K11467
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59030:体育および身体教育学関連
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研究機関 | 広島国際大学 (2021-2022) 県立広島大学 (2020) |
研究代表者 |
福場 良之 広島国際大学, 健康スポーツ学部, 教授 (00165309)
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研究分担者 |
山岡 雅子 (遠藤雅子) 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (30336911)
鍛島 秀明 県立広島大学, 人間文化学部, 准教授 (40714746)
林 直亨 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (80273720)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 血管内皮機能性 / 運動 / 評価法開発 / 評価手法開発 / 評価手法 / 動脈血管内皮機能 / 測定評価 / 動脈硬化 / 身体運動 |
研究開始時の研究の概要 |
生活習慣病の中で,心血管性疾患の発症や進展には動脈硬化が深く関与する。動脈硬化発症の第一歩は,血管内皮細胞の「軽微な機能低下」から生じる。従って,動脈血管の内皮機能を正常,あるいはよりよい状態に保つことは,心血管性疾患の発症や進展を抑える上で極めて重要となる。ヒトの血管内皮機能性の評価には,上腕動脈を対象に,Flow Mediated Dilation(FMD)法が広く適用されてきているが,いくつかの問題点が存在する。そこで本研究では,現行法の問題点を解決した新たな測定評価の手法を開発し,その妥当性の検討を行う。また,提案手法の応用として,運動の抗動脈硬化作用に対する適用を試みる。
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研究実績の概要 |
本研究で開発・提案予定の血管内皮機能測定方法を,SS(sustained stimulus)-FMD法と呼ぶ。一般的な反応性充血現象を刺激としたRH(Reactive Hyperemia)-FMD法による欠点を克服するために,SS-FMD法開発において根幹をなす検討課題である,ステップ状な一定SR(Shear Rate)刺激を実現する手技として,初年度では,掌握(HG)運動による実現の可否を検討して,有効な手法であることを確認した。2年目では,当初の計画通り,一定SR値によるステップ入力を,温熱刺激とカフ圧操作を併用する,われわれ独自のアイディアに基づく手技で実現する方法の開発にとりかかった(参照:具体的な方法の詳細は2021年度の報告内容に記載済)。我々が考案した操作手法で,結果として5段階の一定SR刺激を実現することができた。その適用を確認するため,昨年度は健常な10名程度を被験者による実施,検討を予定していたが,コロナ禍による種々の影響で,3名しか実験を完了できなかった。そこで今年度は,被験者数を追加して計26名の健康な若年者を対象に測定ならびに検討を実施した。その結果,ほぼすべての被験者で,想定通りに用量(SR)-反応(血管径拡張)関係がシグモイド状を示すこと,またその曲線から,各対象者の特性を示すパラメータ(例:感度)等が推定可能であることが確認された。初年度のHG運動による測定方法でもシグモイド状反応はえられているが,やはり対象肢への運動負荷という結果への何らかの運動自体由来の影響が無視できない方法よりも,今年度の温熱刺激とカフ操作による測定方法のほうが優れていると判断された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度に検討予定の温熱刺激とカフ圧操作を併用する手技を用いた,各段階の一定ステップ状SR刺激について,概要で述べたように,5段階のSRのステップ状入力で血管内皮を刺激して,それに対する血管径拡張(すなわち,血管内皮機能性の優劣依存で拡張性が異なる)を測定する手法は,コロナ禍の影響により単年度(当初の研究計画では2年目)で終了できず,2年間に延長しての実施を余儀なくされた。しかし2年間に及ぶ検討の結果,概要に記したように,測定手法の構築の目途がたった。当初の1年遅れとはなるが,研究内容の進行は,計画通り,順調に推移している。最終年度である2023年には,それの適用例としてトレーニング実験を遂行する。従って,3年間の研究計画を4年間に延長しただけで,研究内容そのものは,問題なく,ここまで遂行できているし,当初の計画は実施できるものと判断される。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍での実験実施の遅延はあったが,計画全体を後ろへ1年延長することで問題なく進んできているので,最終年度は,当初の3年目の研究計画を予定通りに行う。すなわち,本研究で提案する血管内皮機能評価手法を用いた適用として,運動トレーニングの前後で評価を行う実験を実施する。すでに多くの研究で,持久性運動トレーニングにより,RH-FMDで評価した血管内皮機能は改善することが明らかにされている。これを,本研究で提案する新たなSS-FMD法による評価を同時に行って,本法の有する新規性について検討する。具体的には,被験者20名程度をTraining群とControl群の2群にランダムに群化する。トレーニングの内容としては,脚自転車エルゴメータによる運動(強度:AT付近;心拍数が約130 bm相当)を60分,これを週3回の頻度で4週間継続することとする。4週間の介入前後に,SS-FMD法を用いて血管内皮機能を評価する。従来のRH-FMD法による評価も同時に行い,両方法による評価の比較を行う。あわせて,本研究で提案する血管内皮機能評価手法,温熱刺激とカフ圧操作を併用する手技の最終的なプロトコルの提案を行い,本研究を終了する予定である。
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