研究課題/領域番号 |
20K11504
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
橋本 潤一郎 宮城教育大学, 保健管理センター, 教授 (50333795)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 動脈硬化 / 循環器・高血圧 / 老化 / 血行動態 / 脈波分析 / 血流 / 臓器障害 / 大学生 |
研究開始時の研究の概要 |
近年,若年時から動脈硬化が急速に進む「早期血管老化」が将来の心血管病の危険因子として注目されるが,本邦における有病率や青年期高血圧との関連については未だ明らかではない。申請者は最近,中心大動脈等における双方向性血流脈波分析に基づく簡便で非侵襲的な動脈硬化評価法を開発し,拍動性の血流異常が臓器障害を惹起することを明らかにした。本研究では,①本評価法を含む中心血行動態測定を青年期大学生等に適用し,②早期血管老化および高血圧の頻度と血行力学的病態を調べ、③これらの規定因子や生活習慣との関連について検討し、④心血管病を予防するための最適なストラテジーを血行動態面から見直す新たな論理基盤の形成を目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に引き続き、非侵襲的方法を用いた中心血行動態に関するデータの集積を行った。具体的には、大学生を対象として、上腕動脈・中心大動脈の血圧および脈波伝播速度を測定し、また脈波波形の時系列分析を行うとともに、様々な心血管リスク要因等との関連について検討を行った。 また、高血圧専門外来を受診した患者、および一般健診を受検した地域住民を対象とした従来の研究により得られた中・高年齢者のデータを、本研究に基づく若年者のデータと比較し、その差異を検討した。特に、加齢に伴う血圧や脈波波形の変化に着目した分析を行い、新知見を得た。また、若年者における早期血管老化(early vascular aging)と高血圧の頻度について調査を進めた。 本研究によって、拡張期内の血圧波形および血流波形が、加齢により変化することが明らかとなった。すなわち、末梢動脈における拡張期内の血圧変動(重複波dicrotic waveを含む)は、血流の三相波(拡張期の逆流を含む)と密接に関連していることが示された。また、これら拡張期の血圧・血流変動は、中心・末梢動脈間の血圧較差(脈圧増幅pulse amplification)や硬さ勾配(stiffness gradient)によって規定されることが実証された。 この研究に基づいて開発した新たな拡張期血行動態分析法は、広く血管老化の非侵襲的評価法として応用できる可能性が推測される。この評価法について特許申請を行うとともに(特願2021-186892)、心血管リスクの早期検出に有用であるかどうかの検証を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.本研究において若年者を対象にデータを収集することにより、従来から蓄積してきた中・高齢者のデータと直接比較することが可能となった。 2.上記の比較により、拡張期の血圧・血流波形分析は新たな血管老化評価法として有用であることが示唆された。 3.上記の発見について、関連する国際学会で発表を行い、国際専門誌に結果を公開することができた。
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今後の研究の推進方策 |
1.本研究によって開発した新しい血行動態解析法を広く応用し、その有用性についてさらに検討する。 2.引き続きデータベースの拡充を行うとともに、前向き縦断研究のための追跡データベースを構築するための基盤作りを進める。 3.本研究の成果を学術誌上等で公開する。
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