研究課題/領域番号 |
20K11518
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
田代 倫子 東京医科大学, 医学部, 准教授 (20398762)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | マグネシウム輸送 / 活性酸素 / 心筋細胞 / 細胞内Mg低下 / マグネシウム / 活性酸素種 / 過酸化水素 / ピオシアニン / 酸化ストレス / ナトリウムマグネシウム交換系 / 生活習慣病 |
研究開始時の研究の概要 |
マグネシウム(Mg)の摂食が生活習慣病や虚血性心疾患のリスクを下げるという疫学調査の結果がある。しかし生活習慣病に対してMgがどこにどのように有効なのか分かっておらず、虚血性心疾患のリスクを下げる根拠も明確ではない。我々は虚血性心疾患を進行させる酸化ストレスに着目し、活性酸素が細胞内遊離Mgイオン濃度を急激に低下させることを見出した。そこで生体内で活性酸素種(ROS)が増える状態を培養細胞と動物モデルで再現し、ROSによって変化するMg制御分子を同定する研究計画を立てた。心筋細胞内にMgを保持するメカニズムを解明し、酸化ストレスから心筋を守り、心機能を維持させる革新的医療につなげたい。
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研究実績の概要 |
細胞内遊離マグネシウム(Mg)イオンは細胞内で多くの代謝反応の補酵素として働くほか、タンパク合成、カリウムやカルシウムイオンの輸送など様々な細胞機能制御に関わっている。細胞機能を維持するために、細胞内遊離Mgイオン濃度はほとんど変動しないように保たれていなければならない。ラット心臓から単離した心室筋細胞に細胞外から500μMの過酸化水素を5分間投与すると細胞内遊離Mgイオン濃度が急激に低下し、洗い流した後は徐々に回復した。細胞内で活性酸素を発生させる緑膿菌毒素(ピオシアニン)を投与した時も細胞内遊離Mg濃度が低下した。そこで活性酸素が細胞内Mg恒常性を破綻させることに着目し、活性酸素暴露後のMg動態を詳細に検討した。活性酸素による細胞内Mgの減少は細胞内からのMg汲み出し輸送の活性化により起こることを明らかにした。生理的なMg汲み出し機構として、細胞内外のナトリウム(Na)イオン濃度勾配を利用したNa-Mg交換輸送が知られている。しかしながら、活性酸素によるMg汲み出し機構は細胞外Na非存在下でも活性化されるNa非依存性であり、三環系抗うつ薬のイミプラミンで抑制される性質があることを明らかにした。以上の結果より、活性酸素によって活性化されるMg汲み出し機構が存在し、生活習慣病などの活性酸素が発生するような病態において細胞内Mg恒常性の破綻が起きる機序を解明した。細胞内Mgの減少は細胞機能を障害することから、病態の悪化が懸念される。次年度は、この輸送体の活性化を防ぐための研究を進めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
活性酸素によって変化するMg動態を解析し成果をまとめることができた。
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今後の研究の推進方策 |
Mg恒常性の破綻を防ぐために、心筋細胞におけるMg汲み出し機構について解析を進める。
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