研究課題/領域番号 |
20K11530
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
山田 苑子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (30716634)
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研究分担者 |
上番増 喬 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (10581829)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 癌患者 / BIA / Phase angle / 脂肪酸 / 栄養 |
研究開始時の研究の概要 |
生体電気インピーダンス法から得られる位相角(phase angle; PhA)は細胞膜の健常度を表す。申請者らはこれまでに、消化器癌患者ではPhAが低値であり、低PhAは予後不良因子であることを明らかにした。本研究は、①健常者と消化器癌患者でのPhAおよび赤血球膜脂肪酸組成の比較 ②消化器癌患者の術前PhAと相関を示す赤血球膜脂肪酸の探索 ③消化器癌患者の術前術後のPhAの増減と関連する脂肪酸の探索 を行い、PhAの高低と関連を示す赤血球膜脂肪酸を網羅的に探索することを目的とする。本研究により特定の脂肪酸をターゲットとして発見できれば、今後PhAを改善するためのアプローチへの展開が期待される。
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研究実績の概要 |
生体電気インピーダンス法(bioelectric impedance analysis; BIA)から得られる位相角(phase angle; PhA)は細胞膜の健常度を表す栄養指標として注目されている。研究代表者らはこれまでに、消化器癌患者において低PhAは予後不良因子であることを明らかにした。しかしながら、PhAが栄養介入により改善可能であるか否かについては明らかになっていない。本研究は消化器癌患者を対象とし、PhAの高低と関連を示す赤血球膜脂肪酸をメタボローム解析により網羅的に探索することを目的とする。そのために、①健常者と消化器癌患者でのPhAおよび赤血球膜脂肪酸組成の比較 ②消化器癌患者の術前PhAと相関を示す赤血球膜脂肪酸の探索 ③消化器癌患者の術前術後のPhAの増減と関連する脂肪酸の探索を行う。本研究により特定の脂肪酸をターゲットとして発見できれば、今後PhAを改善するためのアプローチとして、特定の脂肪酸投与でPhAが改善するか否かの介入試験への展開が期待される。今年度は消化器癌患者について下記のデータを収集した。 ・基本情報(年齢、性別、基礎疾患、既往歴など) ・BIA法による体組成評価(PhA、筋肉量、体脂肪量など)、握力 ・血液サンプル ・簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ; brief-type self-administered diet history questionnaire)による対象者の過去1か月間の栄養素摂取状況 消化器癌患者については術前および術後7日の2ポイントでBIA評価、血液サンプル回収、握力測定を行った。上記の結果をデータベースに入力済であるが、血液サンプルの解析が完了していないため、最終解析はまだ実施できていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの影響により、病院への立ち入り制限・患者との接触制限があったため、目標の症例数に達することができなかった。また、研究代表者が年度途中より産前産後・育児休業中であるため、血液サンプルの解析が遅れている。病院への立ち入り制限でヒト血液サンプルの回収が十分にできなかったため2022年度は、PhAの臨床的意義を検討するために頭頸部癌患者のデータベースの作成・解析および論文発表を行った。頭頸部癌患者96名の解析の結果、PhAは筋力、筋量、筋質、身体機能などの筋機能と相関する指標であった。低PhA群では化学放射線療法中の重症な貧血および誤嚥、放射線治療中断の割合が高く、3年生存率不良であることが明らかとなった。また、頭頸部癌患者64名の検討では、悪液質患者では非悪液質患者に比し、PhAが低値であることが明らかとなり、これらの内容について論文発表した。さらに、化学放射線療法前後ではPhAが低下することが明らかとなり、現在論文を作成中である。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者が年度途中より産前産後・育児休業中であるため、復職後は新型コロナウィルスの状況に応じて、可能な範囲内で消化器癌患者の症例数を増やす。並行して、回収済みの血液サンプルの赤血球膜脂肪酸の解析を進める。最終解析として、①健常者と消化器癌患者でのPhAおよび赤血球膜脂肪酸組成の比較 ②消化器癌患者の術前PhAと相関を示す赤血球膜脂肪酸の探索 ③消化器癌患者の術前術後のPhAの増減と関連する脂肪酸の探索を行う。
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