研究課題/領域番号 |
20K11555
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
原 康洋 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任研究員(常勤) (70568617)
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研究分担者 |
平野 賢一 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任教授(常勤) (30332737)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | TGCV / ATGL / エピゲノム / エピジェネティックス / 中性脂肪蓄積心筋血管症 / エピジェネティクス / 中鎖脂肪酸 |
研究開始時の研究の概要 |
中性脂肪蓄積心筋血管症(TGCV)は心筋と冠動脈へのトリグリセリド(TG)蓄積により心疾患を来す難病であり、TGリパーゼであるATGLが欠損している原発性とATGL遺伝子に変異がない特発性に分類される。特に特発性TGCVではATGL遺伝子の欠損なしに、その発現が低下している。本研究では、特発性TGCV発症の機序を明らかにすることを目的とし、.ATGL遺伝子のエピゲノム変化を調べる。具体的には患者由来の白血球を用いて、①ATGL遺伝子領域のヒストン修飾の解析、②ATGL遺伝子領域のDNAメチル化の解析、③特発性TGCV治療薬カプリン酸によるATGL遺伝子のエピゲノム制御への効果の解析、を行う。
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研究実績の概要 |
中性脂肪蓄積心筋血管症(TGCV)は、心筋と冠動脈へトリグリセリドが蓄積する難病であり、adipose triglyceride lipase(ATGL)の著減が主要な原因と考えられている。本研究は、その発症機構を明らかにするためにATGL遺伝子に欠損を持たない特発性TGCVにおいてATGL遺伝子が受けるエピジェネティックな抑制を調べることを目的としていた。その根底として特発性TGCVでもATGL発現が減少しているという仮説があったが、その後、特発性TGCVではATGL発現量に変化がなく酵素活性が減少していることが判明し方針変更となった。そこで特発性TGCVの発症に関わる新たなエピジェネティック研究のための検討を行った。 (1)対象としてラット心筋細胞H9C2を候補とし脂質代謝の可視化の検討を行った。心臓検査に用いられている放射性標識した長鎖脂肪酸I123-BMIPPを蛍光標識に改変した蛍光BMPPを作製し、蛍光BMPPが細胞内に取り込まれ、その後、排出が起こることを確認した。同様にヒトHeLa細胞において蛍光BMPPが細胞内で代謝を受け、その取り込みが長鎖脂肪酸受容体であるCD36の阻害剤SSOに阻害されることを確認した。 (2)特発性TGCVの発症に関わるエピジェネティック制御研究対象としてPNPLA3を候補とした。PNPLA3はATGLと同様のリパーゼファミリーに属し脂肪肝との関連が知られているが、心疾患との関連は報告されていない。そこで特発性TGCV患者検体を肝障害の有無に分け、ゲノムDNAについてPNPLA3遺伝子の変異解析を行った。肝障害検体に特異的な新たなPNPLA3遺伝子の変異は見られなかったが、欧米で非アルコール性脂肪性肝疾患との強い相関が知られるSNP_I148Mはすべての検体において見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
心筋と冠動脈へトリグリセリドが蓄積する中性脂肪蓄積心筋血管症(TGCV)のうち、リパーゼであるATGLに遺伝子欠損がない特発性TGCVにおいてはこれまでATGL発現が著減することが発症の主要な原因と考えられていた。そこで本研究課題の核心となる目的として「特発性TGCVにおけるATGL発現の著減が、ATGL遺伝子領域のエピゲノム変化を介した抑制によるものか否か」を設定した。 しかしながら、その後の精密な検討により特発性TGCVにおけるATGL発現量は健常人と変化がなく、むしろ酵素活性レベルで強い抑制を受けていることが判明した。 当初予測していなかった本事象により、特発性TGCV発症機構におけるエピゲノム変化の研究に関して新たな課題を設定することが必要となった。そのため令和4年度は新たな研究課題設定のための検討を中心に行なったことによる。
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今後の研究の推進方策 |
TGCVの顕著な病巣となる心筋の培養細胞であるラットH9C2、あるいはヒト由来でありすでに脂肪酸負荷による脂肪滴蓄積実験に広く用いられているHeLa細胞を対象とし、特発性TGCVの多くが糖尿病に合併して見られることを考慮し、これら細胞に高脂肪酸あるいは高グルコースによる負荷をかけ、肥大、トリグリセリド蓄積、インスリン抵抗性といった障害を誘導し、脂質代謝関連遺伝子のエピゲノム変化を調べTGCV発症機構解明に結び付けるという新規な研究課題を推進する。現在までにHeLa細胞、H9C2細胞を用いて様々な条件での培養による細胞障害誘導の検討を開始している。 また特発性TGCVの発症に関わる因子としてATGLと同様のリパーゼファミリーであるPNPLA3を候補とし、様々な症状を持つ特発性TGCV検体から抽出したゲノムDNAを用い変異の解析を行う。
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