研究課題/領域番号 |
20K11576
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
西村 直道 静岡大学, 農学部, 教授 (10341679)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ビタミンB12 / 大腸発酵 / プロピオン酸 / コハク酸 / 腸内細菌叢 / コバルト / 難消化性糖質 / 大腸 / 発酵 / 腸内細菌 / コバラミン |
研究開始時の研究の概要 |
腸内細菌叢の多様性低下を発端とする細菌叢の撹乱(dysbiosis)は、さまざまな疾病発症に関与しているため、細菌叢の多様性を高く保持することが重要である。しかし、高多様性を駆動する因子は不明なままである。腸内細菌の多くはビタミンB12やその類縁体(以下、B12/類縁体)を必要とするが、大部分の細菌種は合成能がないため、一部の細菌が合成するB12/類縁体に依存する。したがって、これらを大腸に安定供給することが細菌叢の高多様性を維持すると考えられる。本研究では、高多様性細菌叢を維持するB12/類縁体組成を見出し、その組成を実現する細菌種とこの細菌種を増やす食事因子を特定する。
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研究成果の概要 |
本研究では難消化性糖質の高アミロースデンプン(HACS)による大腸プロピオン酸生成の障害と細菌叢の多様性低下に大腸内におけるVB12不足が関与するかどうかを調べた。その結果、腸内細菌が有するプロピオン酸生成経路の補酵素であるVB12の不足により生じることを明らかにし、大腸内VB12濃度を63 pmol/g以上を保つようVB12を大腸に供給すれば、プロピオン酸生成経路が正常化することが示唆された。また、VB12投与によりHACSで生じる細菌叢の多様性低下が回復することも判明した。さらに、大腸にCoを供給すると腸内細菌によるVB12/類縁体合成が進み、プロピオン酸生成が正常化することを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
潰瘍性大腸炎を患った人の大腸ではコハク酸蓄積が認められる。また、コハク酸が消化管粘膜における炎症を誘導することが知られている。そのため、本研究成果はコハク酸による炎症誘導を抑える上で重要な基礎知見となりうると考えられる。 また、難消化性糖質のみを大腸にデリバリーし、大腸発酵を誘導することがこれまでに多く研究されているが、そのときに必要な因子を適切に供給することが大腸発酵の正常化に欠かせないことを示したものであり、今後さまざまな因子による大腸発酵の制御について研究が進むと考える。
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