研究課題/領域番号 |
20K11618
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
南 竜之介 旭川医科大学, 医学部, 助教 (90806895)
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研究分担者 |
林 永美 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 認知症先進医療開発センター, 研究生 (60421898)
津田 玲生 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 認知症先進医療開発センター, 研究生 (30333355)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / 加齢性難聴 / シナプス機能 |
研究開始時の研究の概要 |
アルツハイマー病 (AD) 発症に対する最大のリスク因子は加齢であり, AD の発症と加齢との間には密接な関係があることが示唆されている. 近年, AD をはじめとする神経変性疾患と, 加齢に伴う感覚器の機能不全との高い相関関係も注目されている. 本研究室ではこれまでに, AD の原因因子であるアミロイドβ を内耳有毛細胞特異的に発現する Tg マウスを開発し, Aβ による神経毒性効果を, 聴力の低下としてモニターできる解析系を確立している. 本研究課題では, AD と 加齢性難聴に共通するイノシトールリン脂質の代謝異常に注目し, シナプス機能低下のメカニズムを分子レベルで明らかにする.
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研究実績の概要 |
本研究では, アルツハイマー病 (AD) の原因因子である amyloid-β (Aβ)を内耳有毛細胞で発現する Tgマウス (Math1E-Aβ42Arc) を用いて, 聴力機能を評価基準とし, シナプス機能低下の誘導メカニズムを解析した. これまでの解析結果を踏まえて, ADと加齢性難聴に共通して働く因子として, シナプス小胞リサイクリングに重要なイノシトールリン脂質 PI(4,5)P2 の代謝および代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)7の機能に着目した. 具体的には, Aβが mGluR7 を介して Phospholipase Cγ(PLCγ) の発現を亢進させ, PI(4,5)P2 発現低下を誘導する分子機構を想定した. そこで, 当該研究室にて, mGluR7をコードする Grm7 遺伝子欠損 (Grm7-/-) マウス をゲノム編集により独自に作製した. Grm7 遺伝子欠損マウスは homo 個体の多くが致死であったため, Grm7 遺伝子欠損 hetero (Grm7+/-) バックグラウンドで Math1E-Aβ42Arc の聴力機能を解析した. mGluR7 を介した Aβの神経毒性について検証した結果, 内耳有毛細胞における Aβ発現に起因する聴力低下に対して, Grm7 ハプロ不全による顕著な聴力の回復は認められなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウスの生体における解析に支障が出ており, 予定していたよりも遅れが生じている .
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今後の研究の推進方策 |
有毛細胞においてはシナプス形態の縮小が観察され, シナプス機能調節に変化が生じている可能性が示唆されており, 引き続きシナプス形態変化およびシナプス小胞動態変化を組織化学的に解析する. また, 生化学的アプローチは既にサンプリングされたものから解析可能であり, AD モデルマウスの内耳における PI(4,5)P2 の発現量変化と聴力低下との関係について検証する予定である.
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