研究課題
基盤研究(C)
日常生活におけるストレスは、腸内環境にも影響を及ぼし腸内細菌叢の乱れ、炎症性腸疾患、慢性炎症、線維化から発癌につながる。従って腸内環境に同時多発的に働きかけて腸疾患の予防や治療につながる副作用のない安全な医薬の開発が急務である。本研究では、400年前から中国の薬学書本草項目に創傷治癒剤として掲載されている鶏卵殻膜に着目し、腸における炎症抑制メカニズムを、疾患モデルマウスを用いて明らかにする。
400年以上前の薬学書に創傷治癒効果があることが書かれている鶏卵殻膜は、近年、摂取により膝関節の痛みの改善、動物においては線維化や炎症予防効果が報告されている。我々は人が卵殻膜をサプリメントとして摂取すると呼吸機能・皮膚弾力性・運動機能改善と同時に腸内細菌叢のバランスが改善することを見出し、また、マウスに卵殻膜をサプリメントとして摂取させると、創傷治癒の早期に分泌される柔らかいIII型コラーゲンの発現が上昇するという結果を得ていた。本研究では予防につながる卵殻膜の腸内環境改善効果を、DSS大腸炎マウスモデルにより検証した結果、卵殻膜を事前に摂取することで疾患病理改善を実証できた。
炎症性腸疾患(IBD)は様々な腸の病気を含み、その中でも最も一般的なものは潰瘍性大腸炎(UC)とクローン病(CD)であり、持続性あるいは反復性の下痢、腹痛、血便などを伴う。近年、IBD患者は増えてきており、比較的若い年齢層(10~30歳代)で発症するため、栄養の吸収障害から成長障害をきたす可能性がある。本研究ではIBDのモデルとして最もよく用いられているDSS大腸炎モデルへの卵殻膜1日1回サプリメント的摂取が、病態悪化を防ぐ予防効果があることを示せた意義は大きい。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
Journal of Fiber Science and Technology
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