研究課題
基盤研究(C)
①試験管内におけるTreg誘導の抑制:マウスの脾臓より制御性T細胞(Treg)を単離する。これにTGF-βを添加し、誘導性Tregを得る。これにDP-CurANAを添加し、Treg誘導の抑制を検証する。②担癌マウスにDP-CurANAを経口摂取させて腫瘍発生の状態、安全性について調べる。③担癌マウスにおけるTreg誘導の実態:胃癌モデルマウスGanの腫瘍増大につれて末梢血、胃粘膜、小腸粘膜におけるTregが誘導されるかについて調べる。④上記の状態で末梢血、胃粘膜、小腸粘膜でのTreg誘導の状態について調べる。また、胃癌において腫瘍免疫を抑制するPD-L1の発現を調べる。
制御性T細胞(Treg)は腫瘍免疫を負に制御する。クルクミンの熱変性で生じ、食品に含有されるGO-Y022は250 nMでTreg誘導を抑制した。胃癌のモデルマウスにGO-Y022を経口投与すると有意に胃癌の発生を抑制した。しかし、in vivoでGO-Y022はTregの比率を低下させなかった。この原因は胃癌細胞が産生する乳酸の存在と思われた。そこで、胃癌細胞の乳酸の産生を抑制する2-deoxy-d-glucose(2DG)を併用するとTreg抑制が誘導された。グルコースの誘導体である2DGも安全性が高く、機能性食品としてTregを抑制し、腫瘍免疫に貢献する可能性が示唆された。
クルクミンの熱変性体であるGO-Y022、そしてグルコースの誘導体である2-deoxy-d-glucoseを併用することで胃癌細胞からの乳酸産生を抑制して制御性T細胞の分化誘導を抑制できることが示された。この低毒性で、食用可能な化合物を機能性食品として用いることで、胃癌細胞と免疫細胞のクロストークを遮断する。こうして、腫瘍が存在する微小環境における負のスパイラルを断ち切ることに成功した。このような毒性のない食品でがん薬物療法や化学発がん予防が実現できる可能性が示された。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件)
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