研究課題/領域番号 |
20K11657
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 椙山女学園大学 |
研究代表者 |
及川 佐枝子 (多田佐枝子) 椙山女学園大学, 生活科学部, 准教授 (90610585)
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研究分担者 |
保田 倫子 椙山女学園大学, 生活科学部, 准教授 (00707036)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 豆味噌 / 抗酸化作用 / 抗炎症作用 / 酸化ストレス / 炎症反応 / 生活習慣病 / 8-OHdG / 慢性炎症 / 大豆発酵食品 / 味噌 / 生活習慣病予防 |
研究開始時の研究の概要 |
わが国では、がんや糖尿病、動脈硬化、心血管疾患などの生活習慣病予防に対する取り組みは喫緊の課題である。近年、これら慢性疾患の原因の一つとして慢性炎症が注目されている。東海地方で多く利用されている豆味噌は、抗酸化作用を有することが示されている。 豆味噌には抗炎症作用も期待できることから、豆味噌の炎症レベル低減効果を検討するため、①脂肪様細胞とマクロファージ様細胞の共培養による炎症反応に対する味噌の抑制作用の解明と、②味噌摂取による炎症レベル低減効果の解明を行う。 以上から味噌を取り入れた日本の伝統的な食生活が慢性炎症を基盤とした生活習慣病の予防に寄与する可能性を明らかにし、基礎的知見の構築に繋げる。
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研究実績の概要 |
日本の伝統的な調味料である味噌は、これまでに抗酸化作用を有することが示されており、がんや生活習慣病、老化のリスクを下げることが期待されている。本研究では、味噌のなかでも東海地方で利用され、特に強い抗酸化作用を有する豆味噌について、酸化ストレス及び慢性炎症の低減効果の検討を行う。本研究では、これまで若年女性を対象にした調査で、豆味噌摂取により血中および尿中の酸化ストレスレベルが低下する傾向が認められている。 本年度は、ヒトマクロファージ様THP-1細胞を用いた、豆味噌抽出液による抗酸化・抗炎症作用について再現性の確認を行った。酸化ストレス誘導剤のt-BHPを曝露させたヒトマクロファージ様THP-1細胞に豆味噌抽出液を投与し、酸化ストレスによる細胞死および活性酸素種生成の抑制効果を検討した。その結果、豆味噌抽出液の添加により、酸化ストレスによる細胞死および活性酸素種生成の抑制が確認された。米味噌抽出液の添加では、有意な結果は認められなかった。また、ヒトマクロファージ様THP-1細胞にLPSを曝露し炎症反応を誘導させ、そこへ豆味噌抽出液を投与し抗炎症作用を検討したところ、LPSによる炎症性サイトカインIL-1βの生成は抑制され、米味噌抽出液を用いた時より高い抑制効果が確認された。 次に、豆味噌による抗炎症作用を解析するために、肥満細胞様3T3-L1とRAW264を用いる炎症反応誘導のモデルを利用し、味噌抽出物投与による抗炎症作用について検討を行った。最初に、マウス線維芽細胞3T3-L1を肥満細胞様に分化させ、炎症反応を誘導させるためLPSを曝露し、そこへ豆味噌抽出液を投与した。その結果、LPS曝露による細胞死は、豆味噌抽出液の添加により抑制された。現在、3T3-L1とRAW264.7 共培養による肥満に伴って惹起される脂肪組織の炎症誘導モデルを用い、味噌の炎症反応抑制効果を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020~2022年度にかけてのコロナ禍により、当初予定されていた若年女性を対象にした味噌摂取による酸化ストレス低減効果、炎症抑制効果については、被験者を集めることが出来なかったため、実施することが難しかった。 また、培養細胞を用いる実験についても、コロナ禍に伴う研究活動の制限(施設利用の自粛要請など)の影響から実験の開始時期が遅れた。昨年度より本格的に研究活動を再開しているが、当初の遅れが響いている事から、もともとの予定よりは遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
若年女性を対象にした味噌摂取による酸化ストレス低減効果については、一定の成果が得られたため、今後、論文をまとめていく予定である。さらに、味噌摂取による炎症反応抑制効果については、採取した尿サンプルを使用して、炎症性サイトカインの生成量を確認し検討する予定である。 培養細胞を用いた研究については、昨年度より再現性の確認も含め進める事が出来ている。さらに、肥満細胞様マウス3T3-L1とマウスマクロファージ様RAW264の共培養が、肥満の脂肪組織を想定したモデルとなる報告されていることから、この実験系を用いて味噌の慢性炎症抑制効果を検討する。このことにより、近年注目されている慢性炎症による生活習慣病が、味噌摂取により低減できる可能性について、検討を行っていく予定である。
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