研究課題/領域番号 |
20K11666
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60010:情報学基礎論関連
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴木 顕 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (10723562)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 組合せ遷移 / 最適化遷移 / グラフアルゴリズム / アルゴリズム / グラフ理論 |
研究開始時の研究の概要 |
遷移問題とは,ある問題の2つの解が与えられた際に,その一方からもう一方へと段階的に遷移する方法を求める問題である.遷移問題は他にも,監視カメラの配置等の常時稼働型システムの構成最適化や,インターネット通信等の継続的サービスの提供など,実社会での応用先が非常に多い問題である. 一方で,遷移問題を実社会に応用しようと考えた際に「目的の解が不明」「目的の解まで到達不能」といった問題が生じる.本研究では,それらの問題を解決するために,現在の解から辿り着ける中で最も良い解は何かを問う「最適化遷移」という新しいフレームワークを導入し,実社会への応用を目指す.
|
研究実績の概要 |
本年度は昨年度に引き続き本研究計画の2つの目標の内,1つ目の目標である「現実的な時間でより良い解を求めるアルゴリズムの開発」を中心に従事した.また,2つ目の「利便性の高いプログラムの実装と公開」にも従事した. 中でも大きな成果は,リスト頂点彩色問題の最適化遷移問題に関して,困難性容易性の両面から結果を得ることができた.具体的には,各リストに含まれる色数が2以下の場合や,入力グラフをバンド幅やパス幅が定数の二部グラフに制限したとした場合ですら計算困難であることを示した.一方で,パス幅が1の場合に,色数をパラメータとしたFPTアルゴリズムや,色数と入力グラフの頂点被覆数をパラメータとしたFPTアルゴリズムを与えた.これらの結果は既に「アルゴリズムと計算に関する査読付き国際会議(WALCOM 2023)」で口頭発表を行った. また,昨年より継続している彩色遷移問題の最適化遷移問題に関しては,「情報数学と計算機科学に関する査読付き学術誌(International Journal of Computer Mathematics: Computer Systems Theory)」に採択され,既に発行済みである. さらに,本研究課題採択前から取り組んでいた独立集合問題の最適化遷移問題に関する論文が「組合せ最適化に関する査読付き学術誌(Journal of Combinatorial Optimization)」で発行された. 他にも,kパス頂点被覆問題やソーティングボールパズル,遷移問題全般の困難性の証明の重要なツールである制約論理等,組合せ遷移に関する幅広い研究成果を得ることが出来た.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. 昨年扱った頂点彩色をさらに一般化した問題であるリスト頂点彩色の最適化遷移問題に対しても,大きな成果を得ることが出来た. 2. 得た成果に関して,国際会議での口頭発表や,学術雑誌への投稿等,順調にアウトプットできている. 3. 昨年に引き続き,国内外の研究者との交流を通して,様々な遷移問題に対して結果を得ることができた. 以上のことから,本研究計画はおおむね順調に進んでいると判断した.
|
今後の研究の推進方策 |
本年度までで独立集合,頂点彩色,リスト頂点彩色をはじめ,様々な問題に対する知見を得ることができた.最終年度では,得られた結果を順次論文にまとめ,国際会議での発表や学術雑誌への投稿を行っていく. また,本研究の2つ目の目標である「利便性の高いプログラムの実装」についても,ここまで得られた成果を基に進めていく.
|