研究課題/領域番号 |
20K11682
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60010:情報学基礎論関連
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
今井 桂子 中央大学, 理工学部, 教授 (70203289)
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研究分担者 |
森口 昌樹 中央大学, 理工学部, 准教授 (10525893)
今井 浩 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (80183010)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 計算幾何学 / 計算位相幾何学 / 動的環境 / トポロジカル量子計算 |
研究開始時の研究の概要 |
計算幾何学は幾何情報処理のアルゴリズムを開発し、それを計算量理論によって解析する分野であり、計算位相幾何学は幾何情報の持つ位相そのものを抽出することや位相幾何学的な不変量をコンピュータで計算するための手法を構築する分野として発展してきた。本研究では、動的環境における計算幾何学の問題を計算位相幾何学の問題として捉え直すことにより、これまで個別に対応してきた動的環境における計算幾何学の問題を統一的に扱えるようにすることを目指して研究を遂行する。また、その過程において計算位相幾何学における理論的基盤形成の拡張も行う。
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研究実績の概要 |
計算幾何学は幾何情報処理のアルゴリズムを開発し,それを計算量理論によって解析する分野であり,計算位相幾何学は幾何情報の持つ位相そのものを抽出することや位相幾何学的な不変量をコンピュータで計算するための手法を構築する分野として発展してきた.本研究では,動的環境における計算幾何学の問題を計算位相幾何学の問題として捉え直すことにより,これまで個別に対応してきた動的環境における計算幾何学の問題を統一的に扱えるようにすることを目指して研究を進めている. これまでに研究を行ってきた動的環境における計算幾何学や計算位相幾何学の問題の整理を基に今年度の研究を進めてきた.大規模な位相構造を持つ東京の地下鉄の路線図の描画は,これまであまり有効な手法が提案されていなかったが,一昨年,駅名も同時に自動配置することが可能な描画手法を提案し,これをまとめた研究を論文として公表した.これを基に,より高速化が可能な方法を考察し,実験をおこなってきた.ラベル配置問題においては,島の集合である島群に対するラベル配置問題に対して,拡大縮小を念頭においたラベル配置問題の解法を多くの計算幾何学の基本概念を利用することにより開発している.島群に対するラベル配置の方法をすでに提案しているが,より実用的な場面への応用を目指して研究を行ってきた.メッシュ生成や変形などの計算幾何学に関する基礎的な研究や量子アルゴリズムに関する研究も行い,動的環境における問題の統一的な手法の構築に取り組んでいる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では以下の3つの課題に焦点を当てて研究を行っている.(a)動的環境における問題に対する計算幾何学アルゴリズムの開発,(b)位相量子計算パラダイムを用いて位相幾何学の各種不変量を計算する手法の構築,(c)動的環境に現れる大規模データを位相幾何学的に捉え、そこに現れる問題をトポロジカル量子計算的なアプローチを用いて解く手法の構築を目指し、計算幾何学・計算位相幾何学における応用の拡張. (a)については,各種のラベル配置問題に対するアルゴリズムを研究してきた.特に,非連結な領域に対するラベル配置問題に対してモデル化を行い,効率的なアルゴリズムを開発している.現実の問題に対応するために実際に社会で問題になっている問題点を調査し,それを解決するためのアルゴリズムを開発中である.(b)においては,研究分担者を中心として,3次元構造の表面メッシュの類似度のに関する研究を行い,その成果を口頭発表によって公表した.量子計算アルゴリズムに関する研究に関しても学術論文としての公表や口頭発表を行ってきた.(c)に関しては,まだ,論文としてのまとめられていない部分もあるが,高速道路網の渋滞情報などの動的情報の処理を念頭に,利用できる理論の調査や整理を行ってきた.
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今後の研究の推進方策 |
動的環境における大量のデータを持つ路線図に対する略地図生成に関しては,より高速な描画方法の開発や高速道路の渋滞情報も含めた道路網の描画やその更新方法に関する研究を進める予定である.これまでの地下鉄路線図の描画手法を応用すると共に,高速道路の渋滞情報に応じた変化への対応という社会的要請に応じるためには動的な環境変化を考慮する必要もある.また,複数車線や通行方向などに対応し,かつ高速に処理ができるようなデータ構造や新しい手法も提案する予定である. 計算幾何学や計算位相幾何学の基本となるメッシュ生成や変形及びその応用に関する研究も引き続き行い,位相の変化の様子をトポロジカル量子計算の枠組みでとらえるための準備を行っていく.動的環境に現れる大規模データを位相幾何学的に捉え、そこに現れる問題をトポロジカル量子計算的なアプローチを用いて解く手法に関しては,萌芽的な側面が強いが,これまで行ってきた既存の研究の調査を進め,得られている研究成果を精査し,計算幾何学・計算位相幾何学,量子計算の融合を目指して研究をさらに進める予定である.
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