研究課題/領域番号 |
20K11685
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60010:情報学基礎論関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
和田 幸一 法政大学, 理工学部, 教授 (90167198)
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研究分担者 |
DEFAGO Xavier 東京工業大学, 情報理工学院, 教授 (70333557)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 無記憶ロボット / LCMサイクル / ライト付きロボット / メモリ対通信 / 同期度 |
研究開始時の研究の概要 |
自律分散ロボット群に対する分散アルゴリズムの研究は,基本的な合意問題を解決するための最弱の仮定を求めることに焦点が当てられてきた.最も基本的な問題の一つである集合問題が基本モデルでは解けないということから導入された「ライト」によって,集合問題は可解となったが,ライト付きロボット群がライトなしの従来のロボット群よりも能力が高いこと以外のことは解明されていない.本研究では,ロボットのライトを記憶能力と通信能力によって定式化し,これら二つとロボットを如何に動作させるかの同期度との相互関係を明らかにし,ロボット群の計算能力を解明するものである.
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研究実績の概要 |
本研究は,ロボットが記憶できる能力,ロボット問の通信能力,ロボットを動作させる同期度がロボット群の計算能力に及ぼす影響を解明することを目的としている.ロボットに搭載するライトは自身も他のロボットも認識できるモデル(LUMI), 自身のライトのみを認識するモデル(FSTA),他のロボットのみが認識できるモデル(FCOM)を考える.FSTAモデルにおいては,定数有限状態を持つだけで通信不可であると考える.また,FCOMモデルにおいては,ライトの色を見せることによって他のロボットと直榜通信可能となるが,自身のライトの色は見えないため,次のサイクルでは通信内容を忘れてしまう,すなわち,ロボットは通信可能だが無記憶であると考える.それぞれのモデルの計算能力を同期度と合わせて明らかにすることが本研究の目的である. この目的に対して,令和2年度では持続性メモリと直接通信が動作スケジュールに対してどのように影響するかを明らかにした. まず全同期(Fsynch)と半同期(Ssynch)におけるこれまでの結果をもとにSsynchとFsynchにおける持続性メモリと直接的通信による能力の限界を導出した.令和3年度では,これらの結果を拡張し,ロボットが持つ機能を限定しても同様の結果が成り立つことを示した.また,FsynchとSsynchの中間に位置するRsynchと呼ばれるクラスを導入し,Fsynch,Rsynch,Ssynchの相互関係を完全に解明した.また, Rsynchはエネルギーを制限したロボット群の能力と一致することを示し,エネルギーの制限されたロボット群の計算能力を議論できる枠組みを与え,エネルギー無制限のロボット群との能力の差を明らかにした.令和4年度は,非同期スケジューラ(Asynch)と各ロボットモデル間の関係を明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目標は,ロボットが記憶できる能力,ロボット問の通信能力,ロボットを動作させる同期度がロボット群の計算能力に及ぼす影響を解明することである.同期度の条件に基づいて,Fsynch,Ssynch,Rsynch(新しいクラス)における各ロボットモデルの計算能力を完全に明らかにし,2022年度は最も挑戦的であるAsynchに関しても完全に解明できた.ただ,Rsynchはロボットのエネルギーを制限したモデルと関連しており,Rsynchの性質を解明するには至らず,新しい目標として,もう一年延長して,このモデルの解明に取り組む.
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今後の研究の推進方策 |
ロボットが記憶できる能力,ロボット問の通信能力,ロボットを動作させる同期度がロボット群の計算能力に及ぼす影響を解明する過程で,新しい同期度を発見し,その性質を明らかにしたが,この同期度(Rsynch)は従来理論的には考えられていなかったエネルギー制限をしたロボット群の計算能力という,新しい研究分野を生み出したたため,これに関する研究を引き続き行う.
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