研究課題/領域番号 |
20K11690
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60020:数理情報学関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
畑 宏明 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 教授 (00609290)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 確率制御 / マルチンゲール法 / 動的計画原理 / HJB 方程式 / 方策改善法 / Stochastic control / FBSDEs / Delay / Hamilton-Jacobi-Bellman / Power utility / Risk process / Stochastic factor model / HJB方程式 / 後退確率微分方程式 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は確率制御を用いて、保険会社の指数型期待効用最大化問題に関して、①明示的に解析可能な実証研究に即した新たなモデルの探索、②実証研究に即した一般的な非線形確率ファクターモデルを用いた問題、③一般投資家の最適投資問題で良く用いられるべき型効用関数を用いた保険会社の最適投資問題に取り組むことである.本研究で従来の動的計画原理を用いて導出されたHamilton-Jacobi-Bellman方程式のみの解析に頼らない保険会社の期待効用最大化問題の新たな解法が確立され、確率制御、数理ファイナンス、偏微分方程式、金融工学、金融実務への応用が期待できる.
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研究実績の概要 |
【1.部分情報下の無限時間範囲の最適消費投資問題】 経済的要因の情報を用いず株価の情報のみを用いる投資家に対する冪型効用関数を用いた無限期間消費投資問題を、マルチンゲール法を用いて明示的に解決した.部分情報下の場合の確率制御問題が解かれた例は殆どみられないので、貴重な研究であるといえる.現在、Mathematical Control & Related Fieldsに投稿中である. 【2.確率ファクターモデル下での最適消費投資問題に対するPIA】 一般的な非線形確率ファクターモデルを用いた最適消費投資問題に対する方策改善法(policy improvement algorithm,PIA)の確立に成功した.実際、元々の最適消費投資問題の解に指数関数的に速く収束するアルゴリズムを最適拡散過程を用いた確率論的技法により理論的に証明した.また、数値計算をしてもかなり速く収束することが分かった.連続時間モデルの場合の確率制御問題に対するPIAを数学理論的に確立した問題は殆どなく貴重な研究であるといえる.安田和弘准教授(法政大学)との共同研究である.現在、Finance and Stochasticsに投稿中である. 【3.一般的な非線形確率ファクターモデルを用いた保険会社の最適投資再保険問題】 指数型効用関数の場合を扱った.動的計画原理を用いてHJB方程式を導出し、対応するディレクレ問題を近似することによって解の存在性を証明した.更に、その解を用いてVerification theoremを証明して最適解を得た.先行研究よりもかなり一般的な設定での解析をしているので、価値ある結果をいえる.現在、この理論的な結果に対する数値計算をしている.孫立憲副教授(國立中央大學(台湾))との共同研究である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度の目標である一般的な非線形確率ファクターモデルを用いた保険会社の最適投資再保険問題を理論的に解決できたことと、更に、部分情報下の無限時間範囲の最適消費投資問題と確率ファクターモデル下での最適消費投資問題に対するPIAを確立し、論文を投稿できたので、おおむね順調に進展していると判断している.
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今後の研究の推進方策 |
次の指数型効用関数を用いた最適消費投資問題に関して次の課題の解決を目指す. 1.一般的な非線形確率ファクターモデルを用いた場合 2.隠れマルコフモデルを用いた場合 3.1,2に対するPIAの確立
一番の困難は、動的計画原理を用いて導出する非線形放物型偏微分方程式であるHJB方程式の解の存在性を証明することである.このことを解決するために、HJB方程式に対して、適切な優解劣解を構成し、対応する境界値問題の解の存在性を証明し、この解を近似することによって元のHJB方程式の解の存在性を証明する方法を採用する予定である.
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