配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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研究開始時の研究の概要 |
理学や工学などの学術分野において凸最適問題が利用されている. それは, たいていの凸最適化問題が「関数値が下がる方向に進めば大域的最小解に到達できる」という性質を持っているため, 最適化アルゴリズムが設計できるからである. しかしながら, その凸最適化問題が非線形性を有する場合, 最小解を持たない可能性がある. このような場合に数値誤差による摂動の影響で間違えた計算を行なうことが知られている. 本研究課題では, その凸最適化問題が不良設定であることがわかるか, またわかる場合にはどうすれば正しい計算が可能か, という学術的問いのもとで, 幾つかの応用問題を扱い, 最適化理論への貢献を目指す.
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研究実績の概要 |
二つの閉凸集合の交わりに属する点を求めるアルゴリズムである交互射影法に関する研究を行なった. 二つの閉凸集合が横断的に交わる場合は, 交互射影法は二つの集合の交わりに属するある点に一次収束し, 非横断的に交わっている場合には, 最悪の場合に劣収束する, ということが知られている. この研究では, 後者の劣収束に関して, (例えば, 劣収束のオーダーを)より詳しく調べた. 一方の集合が直線で, もう一方の集合が1つの凸多項式の不等式で書ける場合に, 最悪オーダーでよりも強い厳密オーダーで劣収束性を評価できることがわかった. また, もう一方の集合が複数の不等式で書ける場合は, 初期点の選択で収束のオーダが変わる(例えば, 一次収束と劣収束など)ことがわかった. これは, 2次元以上の線形部分空間でも起こることを明らかにした. なお, 幸運なことにこれらの結果は査読付き英文誌に掲載されることとなった. より複雑な集合として, 半正定値錐と超平面の交わりに対する交互射影法の収束性も議論した. こちらはまだ論文にはなっていないが, 興味深い性質がいくつか明らかになった. 一方, 複雑な構造を持っているため, 半正定値錐よりも取り扱いやすい凸錐で議論するなど, いくつか新しい研究の方向性も見えてきた. ただし, 射影が複雑なため, 計算が難しくなっている. この困難を克服する必要があると考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
半正定値錐と超平面の交わりに対する交互射影法の収束性の議論や関連するアルゴリズムの収束性の議論について, ある程度の知見は得られているのだが, 射影の可能性が複数あるため議論が複雑になってしまっている. そのため, もう少し時間をかけて, 具体例の計算とそれらの結果から導かれれる数学的事実をまとめる必要がある.
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