研究課題/領域番号 |
20K11709
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60030:統計科学関連
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研究機関 | 京都大学 (2022-2023) 北海道大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
島崎 秀昭 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (50587409)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 神経スパイクデータ / イジングモデル / 状態空間モデル / キネティック・イジングモデル / 非平衡系 / 情報幾何 / 平均場近似 / 神経符号化 / 非線形ダイナミクス |
研究開始時の研究の概要 |
脳は神経ネットワークを用いて外界のモデルを構築し,これに基づいて感覚刺激の原因を推測する器官であるという考え方(ベイズ脳仮説)が提案されている.この仮説を検証するために,本研究では脳が有する外界のモデルを実験データから明らかにする基盤的な統計解析技術を開発する.このために,我々がこれまでに構築してきた時間変動する神経細胞集団の発火頻度と相関構造を逐次推定する技術【状態空間-イジングモデル】を発展させ,大規模な神経細胞集団活動の非線形ダイナミクスの解析を可能にする技術を開発する.この技術に基づいて,大規模・非線形データから神経細胞集団が有する外界のモデルを明らかにする手法を開発する.
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研究成果の概要 |
大規模かつ非線形な神経細胞集団活動を可視化するための統計解析技術として非平衡キネティック・イジングモデルを研究した.このモデルに対して,これまでに提案された様々な平均場近似法を統一する理論を完成させ,データ解析の精度を向上させる新たな平均場近似法を提案した.また,このモデルに対して経路積分を用いた理論解析を行い,大規模ネットワークの挙動を明らかにした.さらに,同モデルを状態空間モデルの枠組みへ拡張し,実験で得られたスパイク時系列データから変動する非対称結合を推定する技術を開発した.以上より,大規模な神経細胞集団活動を理解・可視化するための新しい理論と統計解析技術の開発に成功した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
非平衡キネティック・イジングモデルに対する新しい理論と統計解析技術は,神経科学分野における基礎研究だけでなく,機械学習分野にも応用可能である.提案した平均場近似法によって機械学習による大規模データ解析の精度が向上が見込まれる.さらに,提案した平均場近似の統一的枠組みに基づいて,機械学習モデルのトランスフォーマーの解析が海外の研究者によって行われるなど,学習機械の理論的な理解にも一定の貢献がある.また,理論解析により求めた大規模ネットワークの厳密解は他の複雑系の解析にも適用できるため,物理学,生物学,経済学など多岐にわたる分野で観測されるネットワーク現象への応用が期待される.
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