研究課題/領域番号 |
20K11726
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60040:計算機システム関連
|
研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
横田 隆史 宇都宮大学, 工学部, 教授 (90334078)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 相互結合網 / 並列計算機 / スケジューリング / 遺伝的アルゴリズム / 輻輳制御 |
研究開始時の研究の概要 |
本課題では,並列計算機の通信機能を司る重要な構成要素である相互結合網において,最大限の通信性能を引き出すための分散制御手法の確立を目指す。本課題の特徴は,(1) 並列プログラムの実行前/実行中に行う静的/動的な手法を組み合わせること, (2) 実際の実行環境で生じる通信状況の変化や故障の発生に対応可能な頑強な手法を探求する点にある。この目的に対して,想定される通信状況に対する最適化問題に帰着させる静的アプローチと,アドミッションコントロールや時相論理的な要素を導入した動的アプローチの併用により解決を図る。
|
研究実績の概要 |
現実の並列計算応用では、ランダムな通信パターンが継続的に行われる状況よりも、一定の通信パターンに従った集合通信を1セットとして、それが複数回行われる状況を想定する方が適当と考えられる。つまり、並列計算の進行とともに計算→集合通信→計算→集合通信→・・・の繰り返しがなされるものとする。本課題では、このような並列処理実行過程において、通信の実効的な性能を向上させることで、全体の並列処理性能を向上につなげることを目的としている。 前年度は、集合通信におけるメッセージを意図的に複数パケットに分割し小規模な集合通信を複数回行わせることで全体の通信時間を短くする手法「cup-stacking method」(カップ重ね合わせ法)を考案し学協会誌にて論文発表した。この手法によれば、分割後の集合通信の間の時間的な間隔や、各ノードがパケット送出を行う時刻を調整することにより、多くの通信パターンにおいて通信時間を顕著に減らすことができる。今年度は、上記の手法に対して様々な角度から改善を試み、さらなる性能向上を果たせるまでに昇華させた。その成果は、学協会誌(英文誌)に投稿ずみであり、本実績の執筆時において審査中である。さらに今年度は、本研究課題におけるもうひとつの大きな課題であるロバスト性に関する検討に着手した。具体的には、cup-stacking法による解からの時間的ズレ(時間的頑健性)に関して、いくつかの予備実験を開始した。cup-stacking法の適用前後における時間的な脆弱性・頑健性に関する基礎データを取集中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題の柱のひとつである静的アプローチについて、前年度に論文発表した基礎的な手法を発展させ、ひとつの実践的手法としてまとめ、学協会誌に論文として投稿した。(本実績報告の時点で審査中である)。また、次の課題であるロバスト性について予備実験を含む検討に着手した。
|
今後の研究の推進方策 |
本課題の主要成果であるcup-stacking法は、遺伝的アルゴリズム(GA)を基としたメタヒューリスティックな手法により解を求めている。この解の大部分は各並列ノードでのパケット送出のタイミングを示すものである。実際の並列実行環境では、厳密なタイミング制御は難しいと考えられるため、解と実際のタイミングとのズレに関する頑健性を検討してゆく。このため、まず、個々のノードでのタイミングのズレが全体の性能に及ぼす影響の評価を行う。ここでは、評価手法を体系化するのみならず、定量的な比較を可能とする評価指標を策定するまでを目指す。 またさらに、cup-stacking法による解の時間的脆弱性に関する検討を行う。今年度の予備評価により、脆弱性に関する性質が明らかになりつつある。cup-stacking法が多数の別解(synonym)を持つ(ケースが少なくない)ことも明らかになっている。翌年度以降の検討により、脆弱性を緩和することで、cup-stacking法をより実践的なものに発展させる計画である。
|