研究課題/領域番号 |
20K11782
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60060:情報ネットワーク関連
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研究機関 | 海上保安大学校(海上保安国際研究センター) |
研究代表者 |
山中 仁昭 海上保安大学校(海上保安国際研究センター), 海上保安国際研究センター, 教授 (00352047)
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研究分担者 |
金城 繁徳 海上保安大学校(海上保安国際研究センター), 海上保安国際研究センター, 教授 (80225119)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 分散伝送 / 物理層セキュリティ / 情報量安全性 |
研究開始時の研究の概要 |
無線通信のセキュリティとして現在広く普及している暗号化通信は,計算機能力の飛躍的な向上により危険性が指摘されている.より強固な安全性のためには,計算量に依存しない対策が必要である.本研究では,無線信号の伝搬を物理的に制御することにより,情報量的に送信情報を秘匿する通信方式の実現を目指す.特に,電波伝搬の分散性に注目した上で,これまでに研究開発が進められてきたMIMO伝送やOFDM伝送等の信号多重伝送技術に注目し,無線空間の時間/周波数/空間の多次元的なリソースを用いた無線ならではの自由度の高い分散伝送法を考案することにより,情報量的に送信情報の秘匿性を保証する無線伝送技術の開発を目指す.
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研究実績の概要 |
本研究は無線空間の時間/周波数/空間の多次元的な無線リソースを有効に組み合わせて活用し,無線空間内で情報を分散伝送させることをベースに伝送の秘匿性向上を図る研究である.本研究に関してはこれまで,無線空間のマルチパス性に注目し,電波の伝搬する複数の方向に対して送信アンテナの指向性を制御することにより,それぞれの放射方向に沿って複数の伝送路を形成することが可能なこと,また,それらの伝送路を用いて情報を分散伝送させることにより,送信情報の秘匿性を向上できることを示した. 2023年度においては,2022年度に提案したMIMOストリームへ情報を分散して伝送することによる秘密伝送法について研究を進めた.本手法では,送受信ノード間の伝搬路行列を対角化するMIMO信号処理に基づいて無線空間内に複数の伝送ストリーム(MIMOストリーム)を形成し,形成したMIMOストリームへ秘密分散法により分割した送信情報を分散して伝送する.送受信ノード間に盗聴ノードが存在する一般的な盗聴チャネル付きの伝搬路モデルを想定して提案方式の性能を評価した結果,通信の秘匿性はMIMO信号処理に用いる送受信ノードのアンテナ本数によって変化し,アンテナ本数を増やすことで盗聴ノードに対して秘密裏に情報を伝送できる通信容量(秘密通信容量)を増大できることを明らかにした.一方で,提案方式の課題として,通信の秘匿性と引き換えに送信ノードでの送信電力が増大することが挙げられる.こうした提案方式の課題点となる送信電力の増大量について定量的に評価を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は無線空間の時間/周波数/空間の多次元的な無線リソースを有効に組み合わせて活用し,無線空間内で情報を分散伝送させることをベースに伝送の秘匿性向上を図る研究である.これまでMIMO信号処理を用いることで無線伝送の空間的な分散性を引き出し,送信情報の秘匿性を向上できることを確認した.こうした秘匿性は無線空間の伝搬特性が送信ノード-受信ノード間(正規リンク)と送信ノード-盗聴ノード間(盗聴リンク)で時間的に異なる変動をすることを利用して達成されるものである.本研究の当初目的に沿った方式提案に至っており,研究は順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
これまで研究目的に沿った具体的手法の提案まで至っており,今後は本手法の性能評価を進める.
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