研究課題/領域番号 |
20K11791
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60060:情報ネットワーク関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
笠原 義晃 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 助教 (60284577)
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研究分担者 |
嶋吉 隆夫 岡山大学, AI・数理データサイエンスセンター, 特任教授 (60373510)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 電子メール / メールホスティング / 迷惑メール対策 / 透過型プロキシ / 利用者認証技術 / メールドメイン管理 / 管理権限委譲 / インターネット / コンテナ / サービス基盤 / セキュリティ |
研究開始時の研究の概要 |
我々は、様々な組織のメールユーザを多数収容する高集積なメールホスティングサービスにおいて、コストの削減、耐障害性、拡張性、運用のしやすさ、といった相反する要求を高レベルで実現するメールサービス基盤の実現を目指している。本研究では、そのうち特にメール送信機能に焦点をあて、メールホスティング基盤の高機能化を目指す。 具体的には、軽量コンテナ基盤を利用することで、上記の要求を満たしつつ、メール送信障害の原因となる不正メールの大量送信や、送信先による送信量制限などに柔軟かつ自動的に対応するメールホスティング基盤の研究開発を行う。
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研究実績の概要 |
本研究課題で開発する高集積メールサービス基盤の基本的な検証環境の構築に向けて、今年度も昨年度に引き続き送信メール集約用透過型SMTPプロキシに関する研究開発を中心に推進した。本研究課題はメールサービス基盤としての実用化を志向していることから、研究開発したソフトウェアを実用環境に近いシステムにテスト導入し、評価することを目標の一つとし、透過型SMTPプロキシをプロトタイプから実運用に耐える内容とするべく議論と研究開発を進めた。 検証環境では、インターネット上の実メールサーバへメールを送信することで、透過型SMTPプロキシの動作検証と改修を実施した。具体的には、いくつかの著名な無料メールサービスにアカウントを用意し、透過型SMTPプロキシ経由でメールを送信することで、異なる電子メールサーバ実装に対して電子メール送信のセッション情報を収集した。メール送信時に発見された不具合の改修により互換性の改善を進めた。また、収集したセッション情報から、接続先メールサーバによる迷惑メール対策によるものと考えられる応答をいくつか採取できたため、内容を精査した。 一方で、世界中のメールサーバで運用されている迷惑メール対策は多岐にわたることから、様々な対策に対応でき実運用に有用な機能を持つシステムを開発するには、広範な宛先サーバからの情報を収集する必要がある。研究協力者の所属する企業で運用されているメールサービスへの試験導入について目途が立ったことから、情報処理学会インターネットと運用技術研究会において、実サービス環境導入についての検討内容と、検証環境で収集したセッション情報に関する調査について発表した。その後、本サービスの一部のメールを通過させ情報を収集できる形で透過型プロキシの導入に至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画から1年延長して課題を継続したが、初年度から新型コロナウイルス感染症の影響が大きく進捗が遅れており、予算にもまだ余裕があるため、期間をさらに1年延長して研究を継続することとした。 昨年度から研究協力者の補充はできておらず、稼働の確保に困難はあるが、透過型SMTPプロキシについて検証環境の強化と研究開発を着実に進めている。実運用システムへの試験導入に向けて、導入試験を実施するためテスト環境を拡充することとなり、サーバを1台追加導入し、入念なテストと修正を経て研究協力者による実環境への導入を実施できた。これによりインターネット上の広範な宛先サーバからの情報を収集し分析・検討を進める見込みだったところ、技術的ではない別の要因により、導入したサービスでの継続的な運用および収集した情報の分析を断念せざるを得ない状況となった。また、研究分担者・研究協力者の異動により、研究計画と研究体制の見直しが必要となり、議論を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は最終年度のため、本研究課題全体の成果をまとめる段階である。昨年度進めていた、実用環境に近いメールシステムに透過型プロキシを導入することによる性能測定・評価・情報収集・分析については進めることができなくなったこと、短期的に別のサービスに同様の方式で導入する目途が立たないことから、研究課題で用意している検証環境を利用して、一般的なメールホスティングシステムの構成との性能比較による評価を進め、透過型SMTPプロキシの研究開発に関する成果としてまとめる。
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