研究課題/領域番号 |
20K11816
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60070:情報セキュリティ関連
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
深瀬 道晴 東北学院大学, 工学部, 講師 (30626502)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 格子基底簡約アルゴリズム / 進化的計算手法 / 計算機実験 / LLLアルゴリズム |
研究開始時の研究の概要 |
現在主流の公開鍵暗号は量子コンピュータが実現した場合破られてしまうことが既に示されており、その場合の代替候補として格子暗号が有力候補の一つである。本研究では、格子暗号の安全性評価において必要不可欠な格子基底簡約アルゴリズムの効率化と公開鍵暗号に対する攻撃法について研究する。
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研究実績の概要 |
従来は公開鍵暗号方式の主流として、RSA暗号と楕円曲線暗号が広く使用されてきたが、これらの暗号方式は量子計算機によって破られることが示されている。昨今、量子計算機の実現の可能性が高まりを見せるにつれて、RSA暗号と楕円曲線暗号の代替となる暗号方式の必要性がより強く指摘されるようになってきた。この状況を受けて、2016年に米国標準研究所(NIST)が耐量子計算機暗号の公募を開始し、2022年に4つの方式を代替暗号の標準として選定した。4つの方式のうち3つが格子暗号で、今後の格子暗号の標準化・実用化に向けて、格子暗号の安全性評価が一層重要である。格子基底簡約アルゴリズムは格子暗号の安全性評価において必要不可欠となる道具であり、適切な安全性評価のためには格子基底簡約アルゴリズムの高速化が重要である。格子基底簡約アルゴリズムにおいては、基底簡約の処理を進行させるために多数の格子短ベクトルを生成する必要がある。前年度までの研究において、短ベクトルを求めるために、進化的計算手法により短ベクトルを求めるアルゴリズムを改良し、計算機実験によって既存の手法より高速に短ベクトルが求まることを確認した。当該年度においては、改良型アルゴリズムの探索空間生成初期化法の改良、探索空間構成法の拡張、及び、基底更新の手法の改良に着手し、これらの改良・拡張の効果を検証するための計算機実験を実施した。また、進化的手法におけるサブルーチンのそれぞれを分析して、対応する格子空間における演算との対応を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度までの研究成果である、進化的計算手法によって格子の短ベクトルを求める改良型アルゴリズムについては、2022年6月に論文投稿をし、2022年9月に採録通知を受け、最終的に2022年12月にIran Journal of Computer Scienceより出版された。採録までの過程においては、条件付き採録時の査読者のコメントに従って、研究成果の意義に関する説明、及び、改良型アルゴリズムに関する詳細な説明などを大幅に改善した。また、進化的手法による格子の短ベクトル探索の手法に関する内容で、2023年2月に、電子情報通信学会東北支部の学術講演会において発表をした。講演会の質疑応答において、本研究のこれまでの成果である改良型アルゴリズムの性能と今後の見通しに関して説明をした。 また、論文投稿時の改良型アルゴリズムに対してさらなる分析をし、探索空間生成などに関する改善案を見出し、実装の上計算機実験を実施中である。2023年度の早い段階までのこれらの成果を出して、2023年度中の論文投稿・再録を目標に進める予定である。以上から、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、現在までの進捗状況において述べた成果を出すために、2020年10月に投稿をして、最終的に2021年7月に不採録となった論文における手法を、改良型アルゴリズムに組み入れることで、探索の効率化を実現する。その際、2021年7月時点で不採録となった理由を踏まえつつ、手法を改良しながら応用する。また、計算機環境を早期により拡張し、高速性を示すための計算機実験の規模を拡大する。計算機環境拡張においては、主に十分な数のCPUコア数を確保する。その上で、2023年度初頭までには上の成果を出して、2023年度中頃までの論文投稿、2023年度中の論文再録を目指す。
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