研究課題/領域番号 |
20K11903
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61020:ヒューマンインタフェースおよびインタラクション関連
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
緒方 大樹 東京工業大学, 情報理工学院, 特任准教授 (80598037)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | リズム同期 / 役割分担 / リーダとフォロワ / 同期誤差 / アンサンブルシステム / 協調タッピング |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,人間と人工物の間で人間同士のような音楽アンサンブルを達成するために,リズム同期において人間をリードするシステムを構築する. 1)同期指タッピング課題を用いて,人間がリズム同期において相手をリードする時のタイミング生成の特徴とメカニズムを明らかにする.この時,実験的操作により参加者が相手をリードしようとする状況を作り出す. 2)リズム同期において相手をリードするメカニズムをモデル化する. 3)そのモデルを音楽のアンサンブルシステムのためのモデルへと拡張し,人間とシステムの間で合奏を行う.これを人間同士のアンサンブルと比較し,システムが人間をリードしながらアンサンブルをできるか評価する.
|
研究実績の概要 |
昨年度までは、指タッピング課題を用いたリズム同調実験によって、人間同士のリズム同調におけるリーダとフォロワの発生要因について解明し、それに基づくリズム同調モデルの構築を進めてきた。本年度は、リズム同調実験を用いた行動実験によって、リーダフォロワ関係を決定するさらなる要因を明らかにした。 具体的には、個人の特性によってタップタイミングが先行するリーダと後行するフォロワとに自然に役割分担がなされることが示された。さらに、この役割分担を説明するモデルの構築を進めた。情報処理的アプローチによって提案されているDuar Process Modelを拡張し、メトロノーム音に対して人間が数十ミリ秒早くタップをするネガティブアシンクロニの個人差、もしくは、個人が持つパーソナルテンポの個人差に影響する可能性を見出した。加えて、このモデルは動的システムアプローチで採用されている位相振動子モデルを拡張することによっても同様の説明が可能であることを示した。 また、リーダとフォロワの関係を決定する別の要因として、自己のタップタイミングの聴覚フィードバック刺激とその刺激長の重要性を明らかにすることができた。人間は自己聴覚フィードバック刺激と環境からの聴覚刺激に関係によって、タップタイミングの制御戦略を変えることを行動実験により明らかにした。具体的には、これら自己と環境からの聴覚刺激の同期誤差が知覚閾値を超えるかどうかが制御戦略に関わっていることを示唆する結果が得られた。これは、聴覚フィードバックと刺激長によってリーダフォロワ関係を操作できる可能性を示している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍において行動実験を思うように勧められなかった影響が残っているが、他者とのリズム同調においてリーダとフォロワが決定される要因について当初予定しなかったものを発見することができ、おおむね順調に進展していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、これまで発見してきたリーダとフォロワを決定づける要因を考慮したリズム同調モデルを提案し、その妥当性を検証する。また、これまで情報処理的アプローチに基づくモデル化を進めてきたが、動的システムアプローチの知見も含めることで、より拡張性の高いモデル構築を進め、アンサンブルシステムを構築する。
|