研究課題/領域番号 |
20K11907
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61020:ヒューマンインタフェースおよびインタラクション関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
小鷹 研理 名古屋市立大学, 大学院芸術工学研究科, 准教授 (40460050)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 身体所有感 / 身体変形感 / 身体変形 / ラバーハンド錯覚 / バーチャル・リアリティー / 主観的垂直方向 |
研究開始時の研究の概要 |
身体変形感に関する研究は、痛みや精神的負荷の軽減において有効性が示唆されており、いかなる条件下で変形感覚が増強されるかを検証することは社会的に重要な意義がある。従来の錯覚研究では、身体の伸縮感覚を与えるには、対象となる身体部位を物理的に引張るのと同時に、同部位が伸びる映像を順方向で呈示することが要件とされてきた。他方、代表者らは、下肢の変形感覚において、映像の伸縮方向と筋運動の伸縮方向が真逆な場合にも十分な変形錯覚が得られることを発見している。本研究では、こうした物理世界と主観世界の方向性がアベコベとなる反転効果一般が生じる認知的機序を、各種の被験者実験によって同定することを主要な目的とする。
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研究成果の概要 |
自分の身体とラバーハンドに対して同時的に接触刺激を付与することによって、自分の身体とラバーハンドとが接合する感覚が得られる「ダブルタッチ錯覚」の提案を行い、複数の心理実験により、その心理学的効果を詳細に同定した。具体的には、ダブルタッチの軸に関して、錯覚効果の異方性が存在すること(幅に対して長さ優位)、および接触数を増やすことによって錯覚効果が高まること等を確認した。さらに、ラバーハンド錯覚に対して、スライムの素材を適用することで、皮膚に対して選択的に身体像の変調を促すことができる「スライムハンド錯覚」を発見し、変調距離が従来のラバーハンド錯覚の限界を超過していることを示唆する結果を得た。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で新たに発見したダブルタッチ錯覚は、体験者の身体と架空の身体(ラバーハンド・アバター)を主観的に接合するものであり、近未来のメタバース空間の設計において、現実空間と仮想空間とを無理のない連続的なかたちでつなぐうえで基礎的な知見をもたらすものである。同じく、本研究の成果であるスライムハンド錯覚は、皮膚領域に選択的な身体変形をつくりだすことが可能な手法であり、仮想空間における身体運用の自由度を(従来想定されていたものよりも)格段に高めるものである。いずれについても、将来的な情報化された現実空間の構築に対する応用が強く期待される。
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