研究課題/領域番号 |
20K11929
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61020:ヒューマンインタフェースおよびインタラクション関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
大森 信行 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 客員研究員 (20506133)
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研究分担者 |
遠藤 博史 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究グループ付 (20356603)
近井 学 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (60758431)
井野 秀一 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (70250511)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 嚥下 / 振動 / 咽頭 / 触感 / 頸部 / 押付 / ざらつき / 介護食品 / 飲料 / 咽頭感覚生成 / 食塊通過 / 嚥下音 / 振動刺激 |
研究開始時の研究の概要 |
食塊を口腔から咽頭に送り込む嚥下機能が低下するとペースト状あるいは軟らかく調整した介護食による食事が中心となる。単調な食形態によって、食欲が低下すると体力、全身状態の低下につながり、さらに摂食嚥下機能が低下してしまう。 我々は、このような食形態の制限において、それまで普通食で得られてきた感覚、体験の喪失を課題と捉えて、介護食であっても普通食と同様の感覚、体験を得る方法を研究してきた。その結果、疑似咀嚼音による食感改善効果が検証されている。本研究は、嚥下において聴覚や触覚を通して得られる咽頭の食塊通過感覚を実現し、楽しさや美味しさといった食のQOL向上や、リハビリや摂食意欲の改善を目指す。
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研究実績の概要 |
咀嚼,嚥下等の食事の機能が低下すると誤嚥,窒息のリスクを回避するために介護食品が提供される.介護食品では物性が制限され,食感が乏しくなることから,機能低下の前までに普通食で得られてきた感覚,体験を喪失することになる.そこで,介護食であっても普通食と同様の感覚,体験を得るための方法を研究してきた.本研究は,嚥下において聴覚や触覚を通して得られる咽頭の食塊通過感覚を実現し,楽しさや美味しさといった食のQOL向上や,リハビリや摂食意欲の改善を目指している. 嚥下機能の改善のために,口腔や頸部において,冷熱刺激,電気刺激を与えることで,嚥下機能を改善される試みが行われているが,食品摂取時に咽頭における食塊通過感覚を発生あるいは増強させ,食感向上を目指す研究はこれまで行われてこなかった.そこで本研究では,振動刺激による食塊通過感覚の生成を目指して,食感向上のために必要な振動刺激の実現方法を検討した. 1対の振動子により構成された頸部への振動刺激装置を試作し,複数の飲料摂取時に振動刺激による食感変化への影響を検討した.実験では頸部に振動刺激発生装置を押し当てて研究協力者自身が保持した状態で,複数の飲料を摂取したときの振動有無における食味及び快不快について研究協力者による主観評価を行った.この結果,振動刺激が飲料の味覚を増強できる可能性があり,その効果は飲料の種類によることがわかった.振動による不快感の顕著な増加は確認されなかった.また、振動刺激発生装置による刺激位置及び頸部への押付力を計測するため振動刺激発生装置に力覚センサを組み込む改良を起こった。予備実験では、力覚センサにより振動刺激発生装置の押付力は2N(200gf)程度と計測され,押付位置は甲状軟骨隆起から20-30mm程度の上方であった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
機器,振動発生方法等の検討を踏まえた振動刺激発生装置の開発及び同装置を利用して振動が咽頭通過感覚を含む食感に与える影響の検討が進んできた.また,振動刺激の位置や振動子の押付力について計測方法の検討が進み,本装置により実際に試料食品を摂取するときの刺激方法の再現性(振動子の押付力,押付位置)を検討可能となった.研究協力者による食品摂取を伴うため実験はCOVID-19の影響により実現できていない部分があるが実験系は概ね完成しているので適切な感染対策を実施することで研究協力者による研究の進展が期待できる.
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今後の研究の推進方策 |
頸部振動刺激によって食塊咽頭通過感覚を発生する方法を確立するためには,刺激から感覚知覚までのメカニズムの解明と,モデル作成が必要である.本研究では振動刺激に着目し、頸部への刺激方法とその効果について検討を行っており,今後はこのために研究協力者による振動刺激の感覚の評価実験をを進める予定である.実験にあたっては食品衛生等の専門家の助言を受けながら,感染の予防に十分に配慮する.
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