研究課題
基盤研究(C)
近年においてコンピュータによる資産運用が急増しているが,成果を得やすい活用事例として情報処理速度(HFT)や情報処理量(ビッグデータ活用)が挙げられる.しかしアルゴリズムの多様性に乏しいため,同じパイの奪い合いよる収益性の低下や,アルゴリズムの連鎖反応による暴落や暴騰の原因となる.そこで本申請課題では,速度と量に加え,アイデアを資産運用の3大競争要素と捉え,既製手法には無い独自の工夫を加えることを重要視する.それには主に機械学習を駆使するがブラックボックス化が進むため,人間心理を反映したテクニカル分析と融合することで,人間に理解しやすいExplainableな資産運用アルゴリズムを検討する.
近年,人工知能(AI)技術の実務への応用が加速しているが,本研究では特に金融業務への応用としてFinTechに関する投資運用モデルをいくつか提案した.提案モデルでは,深層学習・集団学習・異常検知など様々なAI技術を用いるが,それらの妥当性を実データによる投資シミュレーションおよび統計的仮説検定に基 づいて調査した.その結果,単にまぐれでは解釈できない収益性を確認し,伝統的経済学の基盤をなす効率的市場仮説の反証になり得る可能性を指摘した.これらの成果は雑誌論文5編 (内2編はarXiv) および学会発表12編 (国外3編,国内9編) に示した.特に前々年度に組成した私募ファンドに関する異常検知モデルを改良すべく,企業の株価情報のみならず財務情報も学習データに加えることで企業の本質的価値 (理論株価) に基づくミスプライスの検出を試みた.さらに説明可能なAI技術 (主にSHAP分析) を導入することで機械学習モデルの解釈性を高め,その応用として投資信託への資金フローの要因およびその年次変化を可視化した.その結果,近年になるほど投資家らの利益確定売りや回転売買の傾向が弱まっており,投資信託の運用成果が健全に評価される環境になりつつあることを確認した.その他,テーマ型投資信託の自動構築および妥当性検証のために自然言語処理技術を導入し,その有効性について実データを用いたシミュレーションによって確認した.さらに外国為替市場の分析や実務においても機械学習を活用し,人工知能等のデジタル技術を駆使することで金融業務の生産性を向上できる可能性を示した.
2: おおむね順調に進展している
学術論文5編(内2編はarXiv)および学会発表12編(国外3編,国内9編)などを鑑み,順調に研究成果を挙げていると考えられる.
学会発表した研究成果について内容をよりブラッシュアップし,2023年度中に学術論文誌に投稿する.次年度に向けて補助事業期間の延長を行なったため,2023年度に補助事業に関する全ての課題の達成を目指す.
すべて 2023 2022 2021 2020 その他
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (31件) (うち国際学会 5件) 図書 (1件) 備考 (3件) 産業財産権 (1件)
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http://tsuzuki.ise.ibaraki.ac.jp/TS_lab/
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