研究課題/領域番号 |
20K11973
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61040:ソフトコンピューティング関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
川村 正樹 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (60314796)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 情報ハイディング / 電子透かし / 連想記憶モデル / 最適化 / パイロット信号 / 攻撃耐性 / 特徴抽出 |
研究開始時の研究の概要 |
SNSにアップロードされた写真が加工され、無断で利用される不正行為が行われている。本研究の目的は、加工に強い電子透かし法を開発することである。まず、回転や拡大縮小などの変換に強い特徴領域を求める。また、攻撃を学習したニューラルネットワークを用いて、透かし情報の埋め込みと抽出を行う。さらに、残留する透かし情報の誤りを連想記憶モデルで訂正する。これらを組み合せ、高耐性な電子透かし技術を確立することを目指す。
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研究実績の概要 |
ステゴ画像に、幾何攻撃や圧縮攻撃などが加えられると、透かし情報が誤って抽出される。本研究の目的は、攻撃に強い電子透かし法を開発することである。抽出した透かし情報の誤りを訂正するのではなく、攻撃自体を推定して、透かし情報の誤りを低減する手法を検討した。幾何攻撃を想定し、透かし情報とは別に攻撃を推定するためにパイロット信号を格子状に埋め込む。その格子間隔により攻撃の大きさを知ることができる。この手法より求めた推定拡大率を用いて、透かし情報の抽出を行った。その結果、誤り訂正する場合に比べ、十分に誤り率を小さくすることができた。この成果は、EMM研究会などで口頭発表を行った。 次に、従来の誤り訂正符号を用いた電子透かし法ではなく、連想記憶モデルを用いた電子透かし法を検討した。画像から抽出した特徴情報と透かし情報を相互想起型連想記憶モデルで対応付け、特徴情報を与えることにより、透かし情報を想起することができる。このとき、画像が劣化し、特徴情報に誤りが含まれていても、連想記憶モデルで修復が可能である。これは従来のゼロ電子透かし法には無い機能である。劣化が大きい場合は、相互想起型連想記憶モデルでも誤り訂正が十分ではないため、さらに、自己想起型連想記憶モデルにより誤り訂正を行った。その結果、大きな劣化がある場合でも誤り無く透かし情報を抽出することが可能になった。この成果は、連想電子透かし法として、国際会議APSIPAで発表した。 ニューラルネットワークを用いた電子透かし法では、階段状の量子化活性化関数を用いたモデルを提案した。従来のモデルではJPEG圧縮で用いられる量子化の過程が表現されておらず、学習によってのみ対応していた。提案した量子化活性化関数を用いることにより、量子化の効果を学習時に明示的に取り込むことができ、JPEG圧縮耐性が期待できる。この成果は国際会議APSIPAで発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の成果を国際会議APSIPAで2件発表した。この中には、連想記憶モデルを用いた電子透かし法が含まれており、これは本研究課題の主要な成果である。 また、国内発表では、5件の発表を行った。最適化のアルゴリズムの提案として、英文論文誌に1件掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
パイロット信号を埋め込む電子透かし法を検討している。これまで拡大縮小を想定し、パイロット信号を構成していたが、回転などを含む幾何変換全般に対象を広げたい。総当りで探索すれば回転角などを求めることは可能であるが、これをいかに高速に検出できるようにするかが課題である。この問題は最適化問題となるので、近似解を求める手法を検討する。 連想電子透かし法では、計算機シミュレーションにより、よい性能が得られている。この性能を理論的に評価する。連想記憶モデルでは情報統計力学による解析が行われており、巨視的状態方程式を導出することが可能である。そこで、連想電子透かしモデルの巨視的状態方程式を導出すること目標とする。これより、画像の性能指数である誤り率や画質を理論的に評価できるようになる。 ニューラルネットワークによるJPEG圧縮に耐性のある電子透かし法では、これまで量子化幅を一定に学習してきた。しかしながら、JPEGの量子化テーブルは係数ごとに量子化の大きさが異なる。そこで、このような効果を導入したモデルを検討する。また、高速化のためDCT係数の一部だけを用いていたが、すべてのDCT係数を用いることで、JPEG圧縮を模倣できているかを検証する。これにより、量子化活性化関数をニューラルネットワークに導入したモデルがJPEG圧縮をモデル化できていることを検証し、その有効性を示していく。
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