研究課題/領域番号 |
20K11984
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61040:ソフトコンピューティング関連
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研究機関 | 広島工業大学 |
研究代表者 |
山内 将行 広島工業大学, 工学部, 教授 (40384169)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 同期現象 / 瞬時疑似リアプノフ指数 / 瞬時拡大率 / 位相反転波 / 初期値に対する拡大率 / 初期値を基準とした瞬時疑似リアプノフ指数 / 位相反転波動 / トーラス状の系 / 数理モデル / 初期の距離からの拡大距離 / 初期の距離を基準とした瞬時拡大率 / 初期の距離を基準とした瞬時疑似リアプノフ指数 / トーラス状結合 / 波動現象 / 疑似リアプノフ指数 / 波 / 結合発振器 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、非線形性が強い発振器を結合した系において、今まで解析を行ってきた位相反転波動とは違う新たな波動現象が見られることを発見し、その波動現象の特徴などを徐々に明らかにしてきた。しかし、これらの新たな波動現象のメカニズムや詳細な挙動の解析などは未だ十分ではなく、さらに従来の解析手法だけでは十分な解析や安定性を論ずることも難しいと言える。 本研究では、位相差や個々の発振器の瞬時周波数、及び瞬時電力などの従来からの手法を用いて新たな波動現象の解析を行う。また、従来見られてきた現象の解析にも用いることが可能な、アトラクタの瞬時拡大率やリアプノフ指数的な概念を取り入れた新たな解析手法の開発も行う。
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研究実績の概要 |
多数のvan der Pol発振器をインダクタで梯子状や環状、2次元格子状などに結合した系において、様々な同期状態が安定してみられることが報告され、理論解析もなされている。さらに、これらの系において安定した同期状態の中、隣接した発振器間の同期状態を切り替えながら伝搬する波動現象がみられることが報告され、そのメカニズムについても明らかにされつつある。しかし、この波動現象の安定性については、未だ十分に解析ができていない。 令和5年度は、我々が提案しているリアプノフ指数の考え方を用いた、わずかに差のある2種類の初期値から求められる解軌道間の距離の拡大率である「瞬時拡大率」と、それらを対数を用いて表した「瞬時疑似リアプノフ指数」を用いて解析を行った。特に端のある梯子状の系において、位相反転波単体が伝わる際の瞬時疑似リアプノフ指数の遍歴について調査を行った。観測を行ったパラメータにおいては、位相反転波によって急速に拡大するが、その後急速に収束するなど、カオス的に初期値の差が拡大することはなく、ある程度初期値の差が収束した状態で波動現象が維持されることが明らかとなった。 さらに、端がない2次元格子状の系であるトーラス状の系においても、位相反転波動が存在する時と位相反転波動が存在しない時の、「瞬時拡大率」の遍歴について調査を行い、位相反転波が通り過ぎる瞬間の差の拡大と通過後の差の縮小が観測された。 以上の結果より、「瞬時拡大率」と「瞬時疑似リアプノフ指数」が位相反転波動のような現象の解析において、有用であることは明らかとなりつつあり、現在もパラメータを変化させた際の調査や、結合状態、位相反転波動の状態、および初期値の差の与え方の影響などの調査をさらに進めつつある。また、これらと比較する上で重要となるトーラス状の系における理論解析を進めつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
瞬時拡大率と瞬時疑似リアプノフ指数を環状や梯子状、トーラス状の系に適用し、位相反転波動がある状態においても初期値の差が拡大することはなく、カオスのような振る舞いをしないことが明らかとなりつつある。しかし、一部のパラメータでしか未だ確認ができておらず、今後他のパラメータや状態においての振る舞いの調査も必要である。また、実回路実験においても、小規模であるが初期値を入力する回路の作成に成功しつつあり、様々な同期現象の観測がしやすくなりつつある。さらに、トーラス状の系について、従来からの方式を用いた理論解析も成功しつつある。よって、概ね順調に進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、以下の内容で研究を進める計画である。 ①初期値の差に対する瞬時拡大率、初期値の差に対する瞬時疑似リアプノフ指数を、位相反転波動の衝突時の消滅や反射、2次元格子状の系でみられる透過、端での反射などの様々な振る舞いにおいて調査を行う。 ②環状や梯子状の系において、位相反転波動が見えなくなるまでパラメータを変化させ、瞬時拡大率や瞬時疑似リアプノフ指数の振る舞いがどのように変化するか調査を行う。 ③小規模な系に対応した初期値入力用実回路実験回路の開発を進め、任意の同期状態の観測をおこなう。 ④トーラス状の系における理論解析を進める。
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