研究課題/領域番号 |
20K12062
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62010:生命、健康および医療情報学関連
|
研究機関 | 藤田医科大学 (2022) 生理学研究所 (2020-2021) |
研究代表者 |
浦久保 秀俊 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (40512140)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
|
キーワード | ヘテロシナプス可塑性 / Ca2+シグナル / 反応拡散シミュレーション / 計算論的神経科学 / 電子顕微鏡画像 / シナプス可塑性 |
研究開始時の研究の概要 |
動物の脳にある神経細胞は、数千~数十万もの他神経細胞とシナプス接続をもつ。シナプスには構造体「スパイン」が存在し、各スパインで独立に化学反応が生じることで、動物は多様な記憶を形成することができる(シナプス可塑性)。ただし、スパイン内化学反応は完全に独立してはおらず、近隣のスパインに伝搬するし、逆に近隣のスパインと協調して可塑性を誘導する場合もある。本申請では、スパイン形状などの形態情報がシナプス可塑性の空間的広がりを決定すると考え、スパインの3次元形態を詳細に再現すると共に、その中での生体分子の反応拡散シミュレーションを行って、反応の広がりからシナプス可塑性の空間的性質を決定する。
|
研究実績の概要 |
まず、シミュレーション結果とスパイン形状の関係を定量的に評価するため、スパインの形状の手動ラベルを補助すると共にスパイン特徴量を導出するソフトウェアを開発した(UNI-EM Annotator)。樹状突起を3次元表示すると共にスパイン部分を手動でラベルできるようにし、ラベルされたスパインの体積・表面積・長さなどの特徴量を計算できるようにした。 続いてGPUシミュレータLattice Microbesを用い、ヘテロシナプス可塑性の入力を導くシナプス刺激を行って(6シナプス同時刺激,0.5 Hz,30回)、その際のCa2+シグナル,CaNシグナルのシミュレーションを行った。その結果、シナプス刺激は幹となる樹状突起においてIP3受容体を刺激して、Ca2+-induced Ca2+ release (CICR) が生じて樹状突起Ca2+シグナルがCaN活性を導くことが明らかとなった。CaN活性は首(ネック)が太いスパインへ優先的に拡散することも明らかとなった、これは、ネックが太いスパインにおいてヘテロシナプス可塑性が優先的に生じる可能性を示唆する。 スパインネックの太さを実験で観測することは困難であるが、スパインを対象にしたFRAP実験の回復時定数からネックの太さを推測することができる。そこで、現在は、共同研究をお願いして実験実証の可能性を検討している。さらに、樹状突起におけるCICRは細胞内小胞体(ER)の形状に依存して不均質に生じることも示唆されており、対応する実験との比較対照を進める予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GPUベースのLattice Microbesによるシミュレーションが順調に動作すると共に、スパインの形状の手動ラベルを補助すると共にスパイン特徴量を計算するソフトウェアの開発に成功した(UNI-EM Annotator)。シミュレーション・解析における技術的問題は解決している。現在、シミュレーション結果の解釈や、実証可能な予測を行う段階にあり、慎重な検討を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
シミュレーションを継続して結果の解釈を慎重に行いつつ、必要に応じて実証実験をお願いして論文にまとめる。実証実験は共同研究を依頼する先方の事情に依存するため困難が予想されるが、最善を尽くす。
|