研究課題/領域番号 |
20K12095
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62030:学習支援システム関連
|
研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
山崎 治 千葉工業大学, 情報科学部, 准教授 (90337709)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 複数テキストの読解 / テキストの多様性 / 統合的理解 / 先行オーガナイザー / 多様なテキストの読解 / 多数のテキストの読解 / クラウドソーシング / 概念図 / 図の活用 |
研究開始時の研究の概要 |
テキスト読解力の向上にむけた教育の必要性が社会的に高まりをみせている.本研究では,特に,複数のテキストを読解する場面を想定し,それらのテキストを比較し,整理し,統合的に理解を進めることを支援する手法として「図の活用」に着目する. テキスト内容を表す一方で,テキストとは異なる表現形式である図を,「学習者に呈示」「学習者が作成」「学習者が完成」していくといった取り組みを行わせる.これにより,複数のテキスト間の関係性を把握しながら,学習者が独自の視点をうみだし,テキスト全体を通した統合的な理解へと到達する過程における「図の活用の在り方」を明らかにしていく.
|
研究実績の概要 |
第一に「多数かつ多様なテキストに対する読みと課題解決への応用」と,第二に「複数テキストの統合的理解に対する補助情報の活用」の2つの観点から研究を進めた. 第一の観点については2021年度の研究成果を精査し,その内容をとりまとめ学会発表を実施した.この研究では集合知の観点からクラウドソーシングで収集されたテキストに対して,ベクトル化とコサイン類似度による分類を行い,任意の入力テキストに対して,多様性の程度を変えた10件の他者意見を提示できるシステムを作成した.このシステムを使い,提示される他者意見における多様性の高低に応じて,その後の知的活動にどのような影響を及ぼすのか実験を行った.その結果,課題を捉えなおし独自の観点を整理する作業において,多様性の高い他者意見の提示は効果的だったものの,そこからアイディアを提案する活動において,明確な影響は見られなかった.この研究については,2022年度第47回教育システム情報学会全国大会において発表を行った(荒井武蔵・山崎治:「問題定義・アイディア提案における多様な他者意見の影響」,第47回教育システム情報学会全国大会,pp.290-291). 第二の観点については,第二言語教育や教科教育などで教育心理学をベースとした有意味受容学習における「先行オーガナイザ―」(Advanced Organizer)に着想を得て,「複数テキストに関する統合的理解」における「補助的情報の提示手法の違い」に注目した実験の計画をたてた.具体的には,先行オーガナイザーを各テキストに対して情報を提示する手法と,統合した情報を一度だけ提示する手法が考えられる.これらの違いによる,理解過程の変化を検討するため,大河内・深谷(2007)の研究で用いられた課題を参考にして実験を行っている.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度の前半では,研究計画のうち,多様性の高い多数のテキストを読解することの特徴について成果をとりまとめ,発表をおこなった.2022年度の後半は,複数テキストの統合的理解に関する先行研究に基づき,「先行オーガナイザー」に着想を得た実験計画の立案および準備を行った.予備的な実験の実施まではできたものの,本実験を実施するまでには至っておらず,具体的な成果のまとめは今後の課題となる.
|
今後の研究の推進方策 |
複数テキストの統合的理解に関する実験について,計画に従い実施を行う.実験では,先行オーガナイザーとなる補助的な情報の提示の仕方を条件として,テキストの統合的理解への影響を把握する.特に,複数のテキストそれぞれに対して個別に補助情報を先行提示するパタンと,統合的な補助情報1つだけ先行提示するパタンを設けて,複数テキストの統合的理解にどのような影響をもつのか確認を行う.さらに,この補助情報について,テキスト形式だけでなく,図形式の情報を用いることの効果についても検討をおこなっていく.
|