研究課題/領域番号 |
20K12107
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62030:学習支援システム関連
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
浅井 健一 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (10262156)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ブロックプログラミング環境 / 初心者プログラミング教育 / 関数型言語 / 情報科学的なものの考え方 |
研究開始時の研究の概要 |
初心者から専門家までが使えるブロックプログラミング環境を構築する。それを通して、ブロックプログラミングは中等教育に自然に組み込める可能性があること、高等教育では本格的なプログラミングにもつなげていけることを示す。これが達成されれば、中等教育機関で他の科目を削ることなくプログラミング教育を導入できるだけでなく、高等教育機関でも直感的なインタフェースを通して高度なプログラミング教育を行えるようになると期待される。
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研究実績の概要 |
本年度は、主に以下の4点を行なった。 (1) 中学の数学から一次式をとりあげ、それを学習する web ページの原案を作成した。具体的には、一次関数、グラフの傾き、グラフの切片、グラフの書き方、グラフと変域を取り上げた。それぞれのページでは説明を読んだ後、簡単なプログラミングを行なうようになっており、それを通して内容の理解を深めてもらう形になっている。実装自体はこのような形で行えることが分かったが、web ページの作成には説明のストーリーをどうするかなど作家の能力が必要なことがわかり、必ずしも簡単ではないことがわかった。 (2) 昨年度に作成した情報を専門としない学生を対象としたゲームプログラミングのためのチュートリアルサイトを実際にこれまでにプログラミングの経験がない情報科学科の1年生を対象として使ってもらい、ゲームを作成できるかを観察した。チュートリアルサイトは、開講している授業の内容をもとにしてまとめたものだが、授業で行っている口頭での説明がないため、まだ説明が十分ではないことがわかった。適宜、わからないところを質問してもらう形ならゲームを作成して動かすところまで行かれることがわかった。 (3) 対戦ゲームを作成する授業を情報を専門とする学生向けに開講した。ブロック環境への統合はまだだが、対戦ゲーム作成用のライブラリが実際の使用に耐えることを確認した。同時に、数々の小さな問題点を解決した。 (4) 昨年度に作ったモジュールに対応した OCaml ステッパは、情報を専門とする学生を対象とした授業で使用した。今年度は OCaml ステッパをさらに拡張して参照に対応した。この拡張については国内のワークショップにて登壇発表した。そこでの質疑から、参照をサポートするというのは、双方向リストなど複雑なデータ構造を可視化する研究につながるというヒントを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
情報を専門としない学生を対象にしたゲームプログラミングの教材を実際にプログラミングの経験のない情報の1年生に使用してもらいフィードバックを得ることができた。それを通して多くの改善点が見つかり、教材の改良を行なっている。中学の数学を学習する教材については、一次式をとりあげて web ページの作成を行なった。その結果、技術的には web ページの作成が可能であることがわかった。一方で、実際の教材作りはストーリーを作るなど作家的な能力が必要なことがわかり、一筋縄ではないこともわかってきた。ブロックプログラミング環境に統合しているステッパについては、今年度、情報を専門とする学生向けの授業で扱っている内容のうち、これまでサポートできていなかった参照をサポートした。これにより、授業内容をほぼ全てカバーすることができるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
中学の数学を対象にした教材は、出来上がっている原案をひとつにまとめ、実際に使ってもらえる形のものに仕上げることを目指す。また、可能なら実際に中学生に使用してもらい、書いてあることが理解できるか、役に立つかなどを確かめる。情報を専門としない学生を対象にした教材については、来年度も作成したチュートリアルを学生に使ってもらい、今年度に行なった改良が効果を上げているかを確認する。ステッパなどのツールについては一段落だが、見つかっている不具合の解消を図る。今年度行えなかった対戦ゲームのブロック環境への対応については、必ずしも必須ではない(情報を専門とする学生は、テキスト環境でのプログラミングで対応できる)ことがわかったため優先度は低いが、余力があったら対応する。
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