研究課題/領域番号 |
20K12134
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
中村 隆志 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (20513641)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | サンゴ / 光合成速度 / 石灰化速度 / 流速依存性 / 拡散境界層 / 造礁サンゴ / モデル化 |
研究開始時の研究の概要 |
サンゴの代謝速度の流速依存性を明らかにしモデル化するために、まず、サンゴ表面のミクロスケールの乱流構造や拡散境界層の状態を定量的に観測するとともにサンゴの代謝速度を調べ、サンゴ表面での物質交換速度の定量化およびモデル化を行う。さらに、サンゴ礁の実海域におけるサンゴ群集においても、現場計測によって流れと代謝速度の関係を調べることで、ミクロスケールのモデルを実海域のリーフスケールへアップスケーリングおよび適切なパラメタリゼーションを行う。そして、このモデルをリーフスケールの3次元流動-物質循環モデルに結合させることで、数値シミュレーションによってサンゴ礁生態系の将来予測を行う。
|
研究成果の概要 |
サンゴの代謝速度は流れの影響を大きく受けると考えられているが、その定量的な評価は十分ではない。本研究では、循環型水槽で流速を制御した環境下で、微小溶存酸素電極を用いてサンゴの正味の光合成速度や呼吸速度、拡散境界層(DBL)の厚さを調べた。その結果、DBLの厚さは平均流速の-0.8乗に比例するという結果を得た。これは理論および半経験的に求められた関係と整合的である。このことからサンゴ表面での物質交換速度は、平均流速の0.8乗に比例することが導かれる。ただし、光合成速度や呼吸速度は、流速とはあまり良い相関は得られておらず、サンゴ内外の物質交換速度以外の要因に律速されている可能性が示唆された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年の大気二酸化炭素の増加に伴う地球温暖化や海洋酸性化は、海洋生物に様々な影響を与えることが予想され、その実態解明に向けた様々な研究が行われている。特に海洋酸性化はサンゴなどの石灰化生物の石灰化速度を低下させることが実験的に示されており、サンゴ礁生態系の衰退をもたらすことが危惧されている。一方で、流速の違いによる石灰化速度の変動幅は、海洋酸性化で予想されている成長速度の減少幅に比べて1桁大きい。本研究では、サンゴ表面での物質交換速度は流速の0.8乗に比例することが確認された。この流速依存性の感度は高く、本研究の成果は、サンゴ礁生態系の将来予測の精度を上げるためには非常に重要である。
|