研究課題/領域番号 |
20K12151
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 熊本県立大学 |
研究代表者 |
一宮 睦雄 熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (30601918)
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研究分担者 |
久米 元 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 准教授 (00554263)
小森田 智大 熊本県立大学, 環境共生学部, 准教授 (10554470)
小針 統 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 教授 (60336328)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 黒潮分岐流 / 植物プランクトン / 動物プランクトン / 仔魚 / 黒潮 / 黒潮分岐流域 |
研究開始時の研究の概要 |
黒潮の生産力を向上させるメカニズムの解明は、回遊性魚類が黒潮で産卵をする謎を解く鍵となる。黒潮分岐流は沿岸水を取り込みながら黒潮へ合流するため、沿岸域の豊富な栄養塩、餌生物のプランクトン、仔魚を黒潮へ供給している可能性が高い。本研究では、黒潮分岐流域における低次生産構造の解明を目的に、「黒潮分岐流-沿岸フロントにおける植物プランクトンブルーム発生機構」、「沿岸起源の植物プランクトンの取り込み過程」、「植物プランクトンの輸送量と高次栄養段階への転送量」の解明を行う。黒潮の生産力を向上させる「黒潮分岐流による給餌効果」という新たなメカニズムを提案する。
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研究成果の概要 |
黒潮へ合流する黒潮分岐流は、沿岸域の豊富な栄養塩、プランクトン、仔魚を黒潮へ供給すると考えられる。申請者らは、黒潮分岐流が流れる鹿児島湾周辺海域で海洋調査を行った。調査の結果、春季に湾口域で発生する植物プランクトンブルームを発見した。黒潮分岐流由来の暖流が湾内に流入すると、富栄養塩な湾内水が湾口で湧昇し、ブルームが発生することを明らかにした。これを起点に動物プランクトンおよびマアジ、サバ類仔魚の現存量が高くなっており、さらにこれらの群集が湾外へ輸送されていることを見出した。本研究成果により、黒潮の生産力を向上させる「黒潮分岐流による給餌効果」という新たなメカニズムを提案することができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究によって、黒潮分岐流黒潮の生産力を向上させる可能性を示すことができた。「による給餌効果」という新たなメカニズムを提案することができた。黒潮分岐流が植物プランクトンブルームを発生させるとともに、それらの湾外への輸送を示したことは海洋学分野に大きなインパクトを与えたといえる。本研究では水産重要種であるマアジ、サバ類の新たな産卵海域が発見された。鹿児島湾周辺海域は回遊性魚類の隠れたホットスポットであり、回遊メカニズムに新たな解釈を与える。黒潮は貧栄養で生物生産力が低い「海の砂漠」と認識されてきた。本研究の成果により、黒潮は生物生産力が高い「豊穣の海」であるという認識の大きな変革をもたらす。
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