研究課題/領域番号 |
20K12154
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 気象庁気象研究所 |
研究代表者 |
仲江川 敏之 気象庁気象研究所, 応用気象研究部, 室長 (20282600)
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研究分担者 |
野坂 真也 気象庁気象研究所, 応用気象研究部, 研究官 (40751805)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 降水量 / パナマ / 地球温暖化 / 水資源量 / 生態環境 / 年最大降水量 / パナマ運河 / 降水日変化 |
研究開始時の研究の概要 |
気象研で開発した世界最高の水平分解能全球大気モデル(20km格子)による地球温暖化実験で、地域的に詳細な予測を行い、加えて第6期結合モデル相互比較プロジェクトに参加する結合気候予測モデルを用いて予測の不確実性の幅を定量化する。更に、熱帯性降雨を物理的に再現できる5km格子気象研究所対流許容領域気候モデルによる力学的ダウンスケーリング実験からパナマ地域の気候変化予測を行い、その要因解明を目指す。本研究の成果は、パナマ運河の将来の運営管理計画に必要な影響評価のための将来気候変化の基盤情報を提供し、世界の海運業将来予測に新たな境地をもたらすことが期待される。
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研究実績の概要 |
本年度は、昨年度実施した気象研究所地域気候モデルNHRCMによる気候再現実験結果から、降水の日変化について調査した。その結果、5km解像度よりも2km解像度実験の方が、午後のピークを特徴とする降水の日変化とその季節性をよく再現していた。この要因の一つは、2km解像度実験では、高解像度化の他に、積雲パラメタリゼーションを用いていないことが挙げられる。境界条件を与える全球モデルで降水の日変化の再現性は不十分であったが、その影響は見られなかった。また、カリブ海側の観測地点では、未明から午前に雨が降る現象も、地域気候モデルは再現できていた。この降水イベント発生前日の水蒸気フラックスを相関規模で調べると、その収束が顕著であったことが分かった。この成果は査読付き論文として公開された。 また、気象庁が開発した再解析データを用いて、パナマ地域の力学的ダウンスケーリングを実施した。その結果、山岳風下側で降水過小となることが分かった。今後は、積雲パラメタリゼーションのパラメーター感度実験を通して、この降水過小の要因を明らかにする。 1950年から2100年までの全球モデル150年ラン実験の年最大日降水量の変化について、昨年度明らかにした不確実性の要因について調べた。その大きな要因として、海面水温の年々~十年規模変動が挙げられることを示すことができた。特に、特定の海面水温パターンが影響していることが示唆された。今後、この成果を公表すべく論文執筆を開始している。 また、2023年3月に、パナマの気候に関する国際ワークショップを開催し、本研究で得られた最新の研究成果を共有した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
NHRCMの降水量の日変化については計画通りに論文として出版された。また、全球モデル150年ラン実験については、論文執筆を開始することができた。 一方、パナマ人研究者と共同で実施したJRA-3Qによる実験は、年度初めに行う予定であったが、年度末にまでずれ込み、本格的な解析はこれからとなっているため、全体として、やや遅れている。この解析を実施するため、延長して取り組むことにしている。
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今後の研究の推進方策 |
全球モデルの解析結果を公表すべく、論文を投稿する。また、やや遅れてしまっている、再解析値からのダウンスケーリング実験データ解析を行い、様々な視点からの現在気候再現性を評価し、まとめて成果としたい。
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