研究課題/領域番号 |
20K12164
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63020:放射線影響関連
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
泉 雄大 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, 主任研究員 (20595772)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | DNA損傷応答 / クロマチン / ヒストン / 円二色性 / 放射光 / DNA損傷 |
研究開始時の研究の概要 |
DNAとタンパク質の複合体であるクロマチンは、DNA損傷修復過程において、修復タンパク質が損傷個所にアクセスしやすいようにその姿を変え、修復が完了すれば、元に戻ると考えられている。しかしながら、その構造変化過程は未解明の部分が多い。 本研究では、DNA損傷を起点としたクロマチンの構造変化を放射光円二色性分光測定により明らかにし、構造生物学的な観点からDNA損傷修復機構の全容解明に資するデータを得る。
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研究成果の概要 |
細胞を加熱することによって生じるヒストンタンパク質H2A-H2Bの二次構造変化を放射光円二色性(CD)分光により調べた。45あるいは60℃で加熱した細胞から抽出したH2A-H2BのCDスペクトルは、非加熱細胞由来のH2A-H2Bあるいはそれを直接加熱した場合のCDスペクトルとは異なった。これは、細胞内で通常の熱変性とは異なる構造変化がH2A-H2Bに生じたことを示す。コメットアッセイにより細胞加熱によるDNA損傷量を調べたところ、変化した構造の持続時間と相関が見られた。このことから、H2A-H2Bの構造変化はDNA損傷に応答する何らかの細胞機能によって生じている可能性が考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、被加熱細胞由来のヒストンH2A-H2Bの構造が通常のH2A-H2Bおよび試験管内で熱変性させたそれとは異なっていることを初めて示した。これは、細胞内タンパク質の熱ストレスに対する振る舞いは、試験管内の実験のみでは明らかにできないことを示唆する。この知見は、タンパク質研究の発展に寄与するところが大きいと考えられる。また、本研究で扱った温度領域は、がん治療法の一つである温熱療法で用いられるものと同等であり、本研究で確立した測定手法や得られた知見は、温熱療法の作用機序の理解、治療効果の向上に資するものと期待される。
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