研究課題/領域番号 |
20K12166
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63020:放射線影響関連
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
花田 克浩 大分大学, 医学部, 助教 (90581009)
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研究分担者 |
西田 欣広 大分大学, 医学部, 准教授 (10336274)
寺林 健 大分大学, 医学部, 准教授 (40452429)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 相同組換え / DNA損傷 |
研究開始時の研究の概要 |
DNAの二重鎖切断は染色体異常を引き起こす。染色体異常は細胞死や発癌の原因となるため、二重鎖切断の修復は重要である。二重鎖切断修復の1つに「相同組換え」が知られているが、その後半部分のメカニズムについては未だ不明な点が多い。Holliday構造を介する『DSB修復経路』と、 一本鎖どうしの相補配列間の会合を介する『SDSA経路』が存在するが、哺乳類細胞では、その経路がどのように選択されるのか解明されていない。この研究では、その経路選択機構を解明する。
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研究実績の概要 |
この研究は、『相同組換え』の後半部分のメカニズムを解明することと、その修復の失敗が原因となって二次的に生じる二重鎖切断の発生部位を解明することの2つを目標としている。 相同組換えの後半部分のメカニズムに関しては、計画通り、RAD54タンパク質が、RAD51タンパク質をDNAから乖離させることを示すデータを取得できた。さらに、この状態のDNA-タンパク質複合体に組み換え中間体を解消させる酵素(Holliday junction resolvase)を添加すると、相同組換えの中間体を解消できることを試験管内で実現することができた。これは本研究計画で達成目標としていたことなので、それを実現できる目処が見えてきた。 現在、RAD54Bタンパク質を用いて同様な検証を行なっており、それに成功したら、RAD54、および、RAD54Bタンパク質が相同組換えの中間体構造の解消に重要な役割を担っていることを示す論文を投稿することができる。 一方、相同組換えの失敗が原因となって二次的に生じる二重鎖切断の発生部位を解析については、パルスフィールド電気泳動で二重鎖切断を分離し、そのゲルからDNAを回収して、その末端部分の塩基配列を網羅的に解析する計画である。こちらに関しては、パルスフィールド電気泳動から二重鎖切断が起きたDNAの断片を回収するところまで成功した。後は、回収したDNAの末端部分の配列を決定する手法を開発するだけだが、この手法の特異性、再現性を担保するための証明が難しく、難航している。次年度は、この部分の精度を高める研究を行っていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウイルスの感染拡大の影響と、以前、大分で起きた地震の影響を強く受けてしまい、計画がやや遅れ気味である。現在の所属が医学部であることから、感染拡大時に大学病院の機能を低下させないための措置が継続しており、研究をしている学生やスタッフの活動がかなり制限された。また、全ての製品の納期が遅れる傾向にあり、特に海外からの製品は数ヶ月単位で待たされることが多く、研究に多大な影響が出た。 それに加え、上述の通り、大分でかつて起きた地震の影響が出た年度でもあった。上記の生化学実験で使用しているRAD51タンパク質を使い切ってしまい、新しい酵素を精製する必要性が生じたのだが、先の地震で超遠心機が故障し、その代わりの機器がなかったために、RAD51タンパク質を精製することができなかった。この点については、次年度の5月に新しい機器が納品されることが決定し、次年度にこの問題が解消される予定である。超遠心機が納品されたら、速やかにRAD51タンパク質を精製し、研究を再開することが可能になると見込んでいる。上記の通り、研究のうち、生化学的解析の部分に関しては、期待以上の成果をあげられる可能性があり、現在、論文を作成している最中である。
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今後の研究の推進方策 |
上記のRAD54、および、RAD54Bタンパク質が相同組換えの中間体構造の解消に重要な役割を担っていることを示す論文を投稿したいと考えている。さらに、RAD54やRAD54B以外の因子(BLM、WRN、RECQL5、PARI、RAD51AP1)についても同様な検証を行なっていきたい。これらに関しては、タンパク質レベルで検証する手法が確立ているので、比較的早期に実現が可能なものであると見込んでいる。 一方、相同組換えの失敗が原因となって二次的に生じる二重鎖切断の発生部位を解析については、パルスフィールド電気泳動から回収したDNAの末端部分のみの塩基配列を解読する手法の確立を目指し、研究を継続したい。
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