研究課題
基盤研究(C)
有害獣として被災地域で殺処分された野生ニホンザル(被災サル)の解剖を行い、内部被ばく・外部被ばく両方の線量評価を伴った臓器アーカイブを構築し、他研究者へも提供する。アーカイブを用いて被災サルの全身臓器の形態・分子変化を検索し、被ばく線量・線量率との関係を明らかにする。特に甲状腺、水晶体と造血系の変化に留意する。内部被ばく線量率に応じて被災ウシで酸化ストレスが増加しているなど、今までに報告した結果を被災サルで検証し、長期持続被ばくの普遍的な放射線影響を知る。霊長類である被災サルの病理学的解析からヒト放射線防護への直接的な貢献を目指す。
有害獣として福島第一原発周辺地域で殺処分された野生ニホンザル(被災サル)の解剖を行い、内部・外部被ばく両方の線量・線量率評価を伴った臓器アーカイブを構築し、国内外の研究者に提供した。アーカイブを用いて特に放射線感受性で問題となっている臓器である、甲状腺、水晶体と精巣について精査した。甲状腺では、被ばく線量と無関係に増殖性変化が観察された。放射線の影響を否定できない白内障性の変化を認めた。精子形成のステージ分類を行ったが、対照群に比較して有意な所見は得られなかった。今後も継続して、霊長類である被災サルの病理学的解析からヒトの低線量率長期放射線被ばくの影響と防護への直接的な貢献を目指す。
福島第一原発事故を契機として、原子力災害は起こり得るものであり、この事故による人体や環境影響について大きな関心が寄せられている。原子力災害では、発散して移動する放射性物質による外部に加えて内部被ばくが問題となる。しかし、人体では直接、放射性物質の体内挙動や臓器の被ばく量や影響を知ることはできない。福島第一原発周辺で人類に最も近縁の動物種である野生ニホンザルは、事故後、継続的に放射性物質から外部・内部の複合被ばくをしており、有害駆逐獣として行政的に頭数制限が行われている。本研究による捕獲されたサル臓器のアーカイブ構築と影響解析は、直接人体影響に反映され、将来の防護戦略の構築に役立つ。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 5件、 査読あり 11件、 オープンアクセス 9件) 学会発表 (40件) (うち国際学会 2件、 招待講演 5件) 図書 (2件) 備考 (1件)
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