研究課題/領域番号 |
20K12175
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63020:放射線影響関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
甘崎 佳子 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 放射線影響研究部, 研究員 (80435700)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 放射線 / 発がん / 複合影響 / 胸腺リンパ腫 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、放射線と発がん性化学物質との複合ばく露について、「ばく露の順番」に焦点を当て、順番が変わることで発がん率に違いをもたらす突然変異やターゲット遺伝子を明らかにすることを目的とする。 腫瘍サンプルは、本研究室ですでに終了した大規模発がん実験において採取・保存されているマウス胸腺リンパ腫(ヒトT細胞白血病のモデル)を用いる。免疫組織化学染色法によってT細胞性であることを確認した後、次世代シーケンサーによる網羅的な遺伝子解析を行い、ばく露の順番によってなぜ発がんリスクが変動するのか、その機序を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
発がんは遺伝的要因とともに環境因子(食事やたばこに含まれる化学発がん物質など)に大きく影響されるため、ヒトの放射線被ばくによる発がんも、放射線単独ではなくそれら環境因子との複合影響の結果としてとらえる必要がある。マウスを用いた我々の研究から、放射線(X線)照射後に化学発がん物質(エチルニトロソウレア:ENU)を投与した群では胸腺リンパ腫が相乗的に増加するのに対して、ENU投与後にX線照射した群では相加的な増加に留まることが明らかとなっている。すなわち、複合ばく露ではばく露の順番がリスクの増減に関与することが示唆されたが、その機序は明らかになっていない。本研究はばく露の順番によってなぜ発がん率が変動するのか、その違いをもたらすメカニズムを明らかにすることを目的とした。 本研究では、既に終了したマウス発がん実験で保存したマウス胸腺リンパ腫をサンプルとし、免疫組織化学染色法によってT細胞性であることを確認した後、死亡個体由来サンプルを除くなどしてエクソーム解析に用いる検体を抽出する。それぞれの発がん要因において特徴的な遺伝子変異やターゲット遺伝子を究明し、ばく露の順番によってなぜ胸腺リンパ腫発生率が変わるのか、複合ばく露の発がん機構を明らかにする。 サンプルは、すでに終了しているマウス発がん実験から得られた胸腺リンパ腫を用いる。設定した実験群および各群の胸腺リンパ腫発生率は以下の通りである。 ①4週齢X線単独群12.5%、②8週齢ENU単独群20%、③4週齢X線と8週齢ENU複合ばく露群96%、④4週齢ENU単独群28%、⑤8週齢X線単独群15%、⑥4週齢ENUと8週齢X線複合ばく露群50%。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度は、①4w・X線単独群、②8w・ENU単独群およびおよび③複合・X線→ENU群についてのエクソーム解析を行った。 2021年度は病理標本作製と免疫組織化学染色によるT/B判定を完了し、エクソーム解析に用いる検体を決定した。 2022年度は④4週齢ENU単独群、⑤8w・X線単独群および⑥4週齢ENUと8週齢X線複合ばく露群について次世代シーケンス解析を進める予定であったが、在宅勤務の増加や介護等の事情により実験に費やす時間が不足したため、検体の準備をするに留まった。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度末に研究期間延長を申請し承認をいただいている。2023年度は昨年度予定していた④4週齢ENU単独群、⑤8w・X線単独群および⑥4週齢ENUと8週齢X線複合ばく露群についてのエクソーム解析を終了し、研究をまとめる予定である。
|