研究課題/領域番号 |
20K12178
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63020:放射線影響関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
中島 菜花子 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 重粒子線治療研究部, 研究員 (50402863)
|
研究分担者 |
浦 聖恵 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (80289363)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | DNA修復 / ヒストン修飾酵素 / DNA損傷応答 / エピゲノム / ヒストン修飾 / 放射線 |
研究開始時の研究の概要 |
放射線感受性を決定するDNA修復経路は、DNA修復因子のみならず、DNA損傷領域のクロマチン構造に影響を受けることが明らかになりつつある。クロマチン構造を制御するヒストン修飾酵素の中で、H3K36メチル化酵素の欠損は、DNA修復主要経路の一つ非相同末端結合(NHEJ)に異常が認められる。H3K36メチル化は転写活性部位において認められるヒストン修飾であり、すなわち転写活性部位マーカーと言える。本研究では、H3K36メチル化酵素欠損細胞を作成し、DNA転写活性化領域のNHEJ経路メカニズムを、特に、NHEJにおけるH3K36メチル化の役割を明らかにすることを中心に解析する。
|
研究実績の概要 |
Nuclear receptor-binding SET domain-containing 2 (NSD2)は、ヒストンH3リジン36(H3K36)特異的メチルトランスフェラーゼであり、さまざまな転写調節因子とDNA修復因子の両方に関連しているが、DNA修復におけるNSD2の分子機能はまだ分かっていない。本研究では、放射線に誘導されたDNA二重鎖切断に対するNSD2の機能について解析した。2023年度は、DNA二重鎖切断部位へのNSD2の局在を免疫蛍光法にて観察した。内在性NSD2の核内局在は、UVAレーザーによるDNA損傷に対して変化を示さなかった。次に、DNA修復経路の一つ相同組み換え(HR)におけるNSD2の機能を、HRレポーターアッセイによって解析した。NSD2欠損によりHR効率はわずかに増加し、NSD2過剰発現によりHR効率は低下を認めた。一方で、NHEJ(非相同末端結合)修復レポーターアッセイにおいては、NSD2欠損・過剰発現は修復効率に影響を及ぼさなかったが、non-c NHEJ修復においてはNSD2過剰発現によって修復効率が増加した。また、HR修復に関わるタンパクRad51の核内動態を解析すると、 NSD2を過剰発現する細胞において、DNA損傷部位に集積するRAD51の数は、 野生型細胞よりも有意に少なかった。これらの結果から、NSD2はこれらの結果は、NSD2が全体的なDSB修復効率に影響を与えることなく、IR後のRAD51集積形成を抑制することで、NSD2がDSBの末端切除を阻害してnon-c-NHEJを抑制することが示唆された。
|