研究課題/領域番号 |
20K12183
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63030:化学物質影響関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
仲山 慶 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 講師 (80380286)
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研究分担者 |
北村 真一 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 准教授 (40448379)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 免疫毒性 / RNA-seq / コイ / サルモニシダ / エストロゲン / サルモニサイダ / 感染症 / Aeromonas salmonicida / 有害性評価 |
研究開始時の研究の概要 |
免疫抑制作用を有する化学物質のスクリーニング法を開発し,評価すべき化学物質のランク付けを行う。また,コイにおけるサルモニサイダ症発症のマーカーを探索し,外観的症状の有無にかかわらず,発症の検出を可能とする。その上で,化学物質の暴露条件下での感染実験を行い,短期間の試験でマーカーの検出に基づく免疫抑制作用を評価する。短期試験で免疫毒性が検出された化合物については,発症率および死亡率を求める延長試験を実施し,短期試験の妥当性を評価する。以上の結果から,免疫毒性が現れる閾値を求め,致死毒性をはじめとした他の有害性の閾値と比較し,生態リスク評価における免疫毒性評価の必要性について議論する。
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研究実績の概要 |
体重約5 gのコイにA. salmonicidaを浸漬感染し,1週間後に外観症状を確認した上で,頭腎,体腎,肝膵臓をそれぞれ採取した。感染区(n = 4)と対照区(n = 3)ともに雄から採取した各臓器をRNA-seqに供し,得られたシーケンス結果に基づいて遺伝子発現解析を実施した。また,体腎への影響を評価するために,体重約7 gのコイにA. salmonicidaを感染し,感染3日後および7日後に左右の体腎を摘出し,片方を病理組織学的観察に,もう片方をA. salmonicidaの検出に用いた。 発症した個体においては,頭腎が肥大し,体腎に重篤な損傷が視認できた。RNA-seqの結果,頭腎,体腎,肝膵臓の各臓器からそれぞれ51626,55471,38780の転写産物の発現が検出され,そのうち1241,965,1393の発現量が有意に変動していた。発現量が減少した遺伝子を対象に遺伝子オントロジー(GO)解析を行ったところ,鉄イオンの恒常性維持(GO:0055072)をはじめとした最も多くのGO termが体腎で検出された。体腎の病理組織学的観察から,造血組織の壊死および炎症性細胞の浸潤,尿細管上皮細胞の混濁や壊死など明確な病変が確認され,GO解析の結果と矛盾しなかった。また,感染個体の体腎にA. salmonicidaが存在することが疑われた。以上の結果から,A. salmonicidaはコイの体腎の機能低下させることが予想され,腎機能の評価により発症の確認が可能であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウイルス感染症対策によって,研究の実施を妨げる要因が複数存在した上,国際会議等での発表機会を持つことができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子発現解析の結果から,魚類の免疫系に深く関与する分子がA. salmonicida感染のマーカー候補として絞り込まれた。同マーカー候補分子の測定法の構築および感染個体におけるマーカー分子の応答を確認する。さらに,これまでの成果をまとめ,国際誌に投稿する。
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