研究課題
基盤研究(C)
本研究は「地下水ヒ素汚染地域における大気ヒ素汚染とヒトへの曝露影響」について明らかにする。具体的には、かまどでの調理の燃料に用いられる牛のふんに注目する。ヒ素を含む地下水を農地に散布すれば、稲わらにも、そしてそれを食べる牛にもヒ素が蓄積し、結果的にヒ素を含んだふんが排泄される。そのふんの燃焼によって大気へ放出されたヒ素がヒトの曝露源となっているかどうかを化学分析で明らかにする。影響に関しては、今までに地下水ヒ素汚染地域でなぜ肺がんが発症するか理由が不明であったため、本研究ではヒトにおけるヒ素の経気曝露の経路を確認し、肺がん等を中心にとした毒性影響との関連を細胞・動物実験も交えながら究明する。
本研究では、マウスを用いて、牛糞燃焼由来のヒ素の経気曝露による毒性影響を評価した。その結果、ヒ素曝露群のマウスの肺中ヒ素濃度や尿中8-OHdG濃度が高値であった。このことから、牛糞を燃焼することで大気に放出されたヒ素はマウスの体内に取り込まれており、さらに酸化ストレスを誘導している可能性が示唆された。
本研究では、地下水ヒ素汚染地域における大気ヒ素汚染とヒトへの曝露影響を明らかにする。具体的には、調理で燃焼される牛糞から大気へヒ素が放出され、ヒトに曝露が及んでいるという新たな経気曝露の経路を証明することである。また、これまで原因がよくわかっていなかった肺がん等の健康影響と大気ヒ素汚染との関連性についても明らかにする。これにより、現地での生活様式の改善を提言することでヒ素曝露の低減にもつながると考えている。また、毒性メカニズムの解明により、新たなヒ素中毒の治療薬の開発にも期待できる。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 7件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件)
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