研究課題/領域番号 |
20K12185
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63030:化学物質影響関連
|
研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
藤原 泰之 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (40247482)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | ヒ素 / 血液凝固線溶系 / 血管内皮細胞 / 血管平滑筋細胞 / 血管周囲脂肪組織 / 動脈硬化 |
研究開始時の研究の概要 |
世界各地でヒ素の地下水汚染による健康被害が発生しています。ヒ素は循環器障害や動脈硬化病変の発症に関与することが報告されていますが、その毒性発現メカニズムについては不明な点が多く残されています。我々はこれまでに無機ヒ素化合物である亜ヒ酸が培養血管内皮細胞の線溶活性を低下させることを見出しています。本研究では、亜ヒ酸やその代謝物による血管内皮細胞の線溶活性低下のメカニズム解明を試みます。また血管内皮細胞以外の細胞(血管平滑筋細胞など)にも焦点を当てるとともに実験動物の血管組織を用いた個体レベルでの検討と合わせて、ヒ素の血管病変発症機構の解明研究に新たな知見を提供することを目指します。
|
研究成果の概要 |
本研究では、亜ヒ酸がヒト血管内皮細胞に対してNrf-2/ARE経路の活性化を介して組織型プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA)の産生を選択的に抑制し、その結果として液相のt-PA線溶活性を低下させる機序を明らかにした。また、亜ヒ酸は血管平滑筋細胞やマクロファージ様細胞に対してt-PAの阻害因子であるPAI-1や組織因子(TF)の発現を増加させることを見出した。さらに、亜ヒ酸はマウスの血管組織に対してt-PAの発現低下を引き起こすとともに血清中のt-PA量を減少させることを確認した。すなわち、動物個体レベルにおいても亜ヒ酸は線溶因子の発現抑制を介して線溶活性を阻害することが示唆された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
世界各地でヒ素の地下水汚染による健康被害が発生しているものの、その毒性発現に関わる分子メカニズムは十分に解明されていない。ヒ素は血液凝固・線溶系の破綻を介して動脈硬化症や循環器障害を引き起こすことも示唆されているが、その毒性発現メカニズムの詳細も不明であった。本研究で得られた成果は、ヒ素をはじめとする有害環境汚染物質の血管毒性発現メカニズムに関する解明研究に新たな知見を提供すると共に、ヒ素曝露患者の予防と治療に貢献できるものと考えられる。
|