研究課題/領域番号 |
20K12197
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63040:環境影響評価関連
|
研究機関 | 青森大学 |
研究代表者 |
大島 和裕 青森大学, ソフトウェア情報学部, 准教授 (40400006)
|
研究分担者 |
立花 義裕 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (10276785)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | オホーツク海 / 水循環 / 海氷変動 / 正味降水量 / アムール川 / 淡水収支 / 河川水 / 海水交換 / 海氷 / 水収支 / 河川 / 淡水 |
研究開始時の研究の概要 |
オホーツク海は海氷が現れる南限であり,季節海氷のほぼ閉じた海である。オホーツク海の海氷は,日本周辺域における気象と気候に対する重要性に加え,観光や漁業といった社会的な役割を併せ持つ。オホーツク流氷観光では「アムール川からの淡水供給がオホーツク海の海氷に影響する」と説明されるが,これには疑問が残る。淡水供給起源は,アムール川の他にも中小河川水の流入や,オホーツク海上の降水量,周辺海域との海水交換がある。本研究では,気象・海洋データを用いてオホーツク海全体の淡水収支を評価することで,上記の説明に対する科学的根拠を得る。この水循環変動研究を通して,環オホーツク域における気候システムの解明に寄与する。
|
研究実績の概要 |
本課題では,オホーツク海の海氷生成に関わる淡水収支を総合的に評価することを目的とする。これまで観光地等での一般向けの説明として,「アムール川からの淡水供給がオホーツク海の海氷生成に影響する」と言われてきたが,その実態を科学的に検証する。オホーツク海には,大気,陸域,海洋のそれぞれから淡水が供給されており,各供給量を定量的に見積もって評価する。 我々の研究結果から,オホーツク海への淡水供給は,アムール川のみならず,それを上回る量の淡水が大気から降水として供給されていることが明らかになった。さらに,オホーツク海周囲の陸域河川を介した淡水供給は,アムール川を除く中小河川からの供給量が無視できないこともわかってきた。今年度は,昨年度までの結果をもとに,2種類の気象データ(大気再解析:ERA5,JRA-55)を用いて,大気からオホーツク海への淡水供給となる正味降水量(降水量と蒸発量の差)を見積り,アムールの河川流量と比較した。その結果,オホーツク海上の正味降水量はアムールの河川流量に比べて,1.4~1.7倍大きかった。すなわち,アムール川よりも大気からの淡水供給の方が多い。 また,オホーツク海上の正味降水量の年々変動について解析を行い,次のことがわかってきた。オホーツク海上の正味降水量の年々変動には,夏季のオホーツク海高気圧および冬季のアリューシャン低気圧が各季節で影響していた。冬季のアリューシャン低気圧は,オホーツク海上の気温および海洋表層の水温に変化をもたらし,その結果として海氷の多寡と関係していた。 次年度は,海洋を含めた大気・陸域・海洋の淡水収支および年々変動について解析を進める。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究開始時のコロナ禍によって全体的にやや遅れている。河川からの供給量の見積りの精査および,海洋の淡水量の見積りに時間を要している。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの解析結果をもとに,オホーツク海における総合的な淡水収支として大気,陸域,海洋に関する定量的評価を示す。また,年々変動について大気,海洋,陸域の淡水量を比較して,それぞれの関係性を調査する。
|