研究課題/領域番号 |
20K12202
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63040:環境影響評価関連
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所 |
研究代表者 |
片山 葉子 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存科学研究センター, 客員研究員 (90165415)
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研究分担者 |
佐藤 嘉則 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 保存科学研究センター, 室長 (50466645)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 微生物代謝 / 真菌類 / 細菌類 / 気体状硫黄化合物 / 硫化カルボニル / 微生物劣化 / 土壌微生物 / 腐食性硫黄化合物 / 生物劣化 / 硫黄循環 / チオシアネート加水分解酵素 |
研究開始時の研究の概要 |
大気の硫黄化合物の中で最大の存在量であり、しかも腐食性である硫化カルボニル(COS)の消長に関わる新規代謝経路の存在を、細菌及び真菌類について明らかにすることを目的とする。COS分解は関連酵素も含めて研究が進んでいるのに対し、COS放出に関する情報は限られている。代表者は真菌において未知のCOS発生の現象を見つけたことから、同様の反応は土壌でのCOS動態に深く関わるものとの仮説を立てた。本研究では、硫黄代謝活性を有する細菌並びに真菌の分離株を用い、COS発生のメカニズムを明らかにすると共に、微生物を発生源とするCOSの生物劣化被害低減に向けた基礎的知見を研究期間内に得る。
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研究成果の概要 |
硫化カルボニル(COS)の発生と分解を真菌及び細菌で調べた。土壌から分離された真菌は一般に高いCOS分解活性を示すが、THIF09株、THIF13株、及びこれらの近縁種ではCOSを放出し、COSの動態を理解する上でCOS放出菌の情報は重要であることが明示された。通常は密閉された装飾古墳で採取された剥離片から分離された従属栄養性細菌には高頻度でCOS分解菌が見つかり、古墳環境にもCOS分解菌は広く生息することが示された。SCNase及びCOSaseが発見されたThiobacillus thioparus THI115のゲノムを決定し、硫黄代謝、化学合成等に関わる遺伝子が同定された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
COSは成層圏エアロゾルの原因物質のひとつであり、気候変動の予測にCOSの動態情報は欠かせない。COSの放出が確認された真菌は土壌に広く分布するものであり、今後は土壌微生物によるCOS放出も含めた議論が重要であることを明示した。密閉環境から分離された従属栄養性細菌に高頻度でCOS分解と硫化水素の放出が確認され、顔料などへの影響の可能性が考えられる。T. thioparus THI115は硫黄代謝に関する新規酵素が発見された菌株であり、本菌株のゲノム情報は今後の研究において極めて重要な研究ツールとなる。
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